西山秀二氏の眼「条件が良すぎて落とし穴にはまった阪神の敗戦」
「阪神1-3DeNA」(26日、甲子園球場)
阪神は、2番手以降が打ち込まれる形で逆転負けを喫した。本紙評論家・西山秀二氏は、好条件がそろいすぎて、ベンチの視野がやや狭まったのでは、と敗因を探った。
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この試合は阪神にとって、というか首脳陣にとっては、すごくいい条件を背景に臨むことができた。
というのも前日、西勇が8イニングを投げてくれたおかげで、豊富な救援陣をこの日、そして27日とどんどんつぎ込むことができる。しかも28日は試合がない。
しかし、重要な部分を見落としていたように思う。
六回。先発の伊藤将が先頭打者にヒットを許すと、馬場に交代。馬場は続くオースティンにヒットを打たれたが、後続を断った。ただ、ここからも見えて来るものはあったはずだ。
というのも、投手がルーキーの伊藤将でなければ、あそこでの交代はなかったはずだ。代えやすいピッチャーだから、代えた。それでもやはり、走者を背負って代えられるのは、悔しいものだ。
そして、無死一塁でマウンドに行く馬場としても「よっしゃ」というよりは、気分的にしんどいはずだ。リードは1点。伊藤将の白星の権利もある中で、なおさらだろう。
如実に表れたのが、七回だ。まったく同じように、馬場が先頭打者にヒットされ、交代。さらに経験値の低い及川へのスイッチだ。
この交代に関わる投手たちの気持ちに対する配慮があれば、リリーフをつぎ込むにしても、違った形となったはずだ。
「ピッチャーをたくさんつぎ込める。右には右、左には左で行こう。ランナーが出たらすぐ交代だ」。豊富な持ち駒を存分に活用する、という意味では間違っていないが、それが投手心理まで織り込んでいたかどうか。ベストを尽くしながら、ちょっとその方向を間違った敗戦に思えた。