阪神・青柳 球団初偉業&セ一番乗り10勝!自己最長11戦負けなし8連勝
「阪神8-2DeNA」(24日、京セラドーム大阪)
球団史上初の偉業を軽々と成し遂げた。阪神・青柳晃洋投手(27)が7回7安打2失点の好投で自身初、リーグ一番乗りとなる10勝目をつかんだ。ドラフト5位以下で入団した生え抜き投手による球団初の2桁勝利。自身8連勝。だが、目標はあくまで13勝。変則右腕に慢心はない。
青柳が虎史上最大の下克上を成し遂げた。ヒーローインタビューで「10勝は通過点として通れて良かったと思います」と胸を張り、歓喜する虎党を見つめた。自身初、リーグ一番乗りのシーズン10勝到達。7回7安打2失点で目標の投手に一歩、近づいた。
試合序盤から打線の援護に恵まれ、ゴロアウトを量産する持ち味の投球を展開。プロ入り以来、京セラドーム26イニング目で初失点した七回も傷口は最小限にとどめた。三回には先頭・浜口の投ゴロを捕球し、一塁にワンバウンド送球。苦手克服のために編み出した“青柳スタイル”でアウトを奪い、その後も苦手だった一塁けん制球で神里を刺すなど、ピンチの芽を摘んだ。
ドラフト5位以下で入団した生え抜き投手の10勝到達は球団史上初。「プロに入ってからはドラフトの順位は関係なく、頑張れば活躍できるっていうのをこれからプロに入る選手に見てもらえたらいいなと思います」。自己最長を更新する11試合負けなしの8連勝と快進撃は止まらない。
2015年度ドラフト会議で阪神から5位指名を受けた後、右腕は目標の投手として「小林繁」を掲げた。“江川事件”のあおりを受けて巨人からトレードで阪神に移籍し、打倒・巨人に闘志を燃やした伝説のサイドハンド。当時21歳だった青年は大先輩の魂を受け継ぐ決意を示し、プロの世界に飛び込んだ。
4年目の19年から2年連続で規定投球回到達。課題の制球難を克服した今季は10勝、防御率1・91、勝率・833と投手部門3冠だ。それでも「タイトルを狙いたい気持ちはずっと持っていますけど、それよりもチームが優勝できるように」と思いはぶれない。
東京五輪の野球日本代表「侍ジャパン」で金メダルを獲得。歓喜の余韻に浸った表彰式で刺激的な会話を耳にした。
「隣に柳田さんと甲斐さんがいて。『日本一よりうれしい』と話していたんですが、(岩崎と)『僕たちは何も言えないですね』と言っていました」
最大の目標は36年ぶりの日本一奪還。矢野監督は「本当に心強く思います」と青柳に命運を託した。71年度ドラフト6位入団の小林繁は79年の虎入り後、5年連続で2桁勝利を達成している。昭和、平成と時は流れ、令和に“2世”が現れた。