阪神・近本 5ミリの戦い 新バット挑戦で「飛距離」と「操縦性」両立目指す

 たかが5ミリ、されど5ミリ。バットの長さで変わる打撃の感覚を近本は追い求める
 バットを手に笑顔の近本光司
2枚

 阪神の近本光司外野手(26)が、さまざまなテーマをもとに本心を明かす新企画「謳歌」。今回は打撃論。後半戦再開へ向けてエキシビション中に取り組んだことや打席での考え、球種の選択方法を、隠すことなく明かした。

  ◇  ◇

 正念場となる後半戦が始まった。開幕戦などスタートで状態が上がらず、リーグ戦再開を不安視していたが、ここまで後半戦は15試合で58打数23安打、打率・397。不安を一切感じさせない活躍を見せている。

 「不安はまだあります。何があるのか、まだ分からないので。いまはやりたいことが、結果に関係なく、ある程度できているかなと思います。狙い球もしっかり狙えていますし、自分の打席の中でこうやっていこうというのもできている。それが結果的にアウトになったとしても、感覚としては悪くないです」

 五輪開催期間のエキシビションでは、後半戦へ向けて打撃強化に着手。打球の力強さと飛距離を求めた。

 「少し長いバットを使っていました。本来は85センチなんですけど、85・5センチにしたんです。バットが長ければ長いほど、重ければ重いほどボールは飛びます。でも、僕は長ければ長いほど、遠心力で体からバットが離れていってしまう。それを耐える求心性。体からバットが離れない、グリップが離れないように、バットの重心が離れないように使っていかないといけない。その重心が保たれた時は、それは85センチよりも85・5センチのほうが打球が飛ぶんですが…」

 遠心力でスイングスピードも上がる。だが一方で、これまでの体に近いスイングができなくなってしまうことにもなっていた。

 「僕の場合は、遠心力が加わるとポップフライになってしまいます。それではダメなので、85センチを使っている時と同じようなスイングをやりたいと思ってやっていたんですけど、長くなった5ミリがすごく遠くなって、体から離れていってしまう。しっかり当たったら打球は飛びますけど、できていたことが、できなくなるのなら、これまでの長さでいいと思って戻しました。これは、来年、再来年に挑戦すればいいと思っています」

 8月26日のDeNA戦(京セラ)では、通算8本目の先頭打者アーチを放った。試合後のお立ち台では、狙い球を真っすぐか変化球の二択と説明。打席の中で多くを考え過ぎることはない。

 「打席の中での狙いは、真っすぐか変化球か。スライダー、カット、チェンジアップと細かくはないです。真っすぐか変化球でしかタイミングは取れないので。真っすぐよりも速い変化球はないですし、変化球より遅い真っすぐもない。そうなったら、真っすぐの145キロに合わせるのか、変化球の135キロに合わせるのかになってくると思います。考えるのは、その二つだけです」

 打席での脳内はいたってシンプル。変化球のない少年野球の“速球か遅球待ち”の感覚に似ている。

 「極論でいえば、ストレートしかないんです。カーブが変化球。球速差が大きいのはストレートとカーブで、その間にスライダーなのか、フォークなのか、ツーシームなのかがあるだけなので。感覚的にある程度は、ストレートなんです」

 (続けて)

 「そうなると、ツーシームは、ストレートになります。ストレートを待っているのに、『あっ、ツーシームや』と思って見逃そうというのではないんですよ。それを打ちにいく。その中で、どういうふうに打ちにいったらファウルになるのかとか、引っかけて一、二塁間に抜けるのか、それとも逆方向へ打ち返すのかというのをイメージしています」

 巨人、ヤクルトと上位3チームが拮抗(きっこう)している。激しい首位争い。競り合うためにも、開幕ダッシュを決めた攻撃力が求められる。ただ、現状はこれまで4番を任されてきた大山と、打線を活性化していた佐藤輝が共に打撃不振。それだけに、攻撃の起点となる役割をより意識しないといけない。

 「苦しいからこそ、僕が打たないとという気持ちは強くなってます。1番打者なので、出塁すれば得点につながる可能性も高くなりますし。でも、あんまり頑張り過ぎないというのも頭にあります。頑張って打ちにいこうとしたり、頑張ってヒットを打とうとするのではなく、あえてボールを見ようと意識している時もあります」

 ここからは目の前の一戦一戦が勝負。シーズンも残り2カ月となった。

 「ゲーム差があれば気にしないですけど、差がなければ気にしています。1位だったら、前だけ向いてというのは無理でしょうし。2位だったら、ゲーム差を意識して『絶対に勝つぞ』という気持ちでやっている。1位になった瞬間、後ろのゲーム差を意識しないというのは、絶対に無理だと思うので。ゲーム差を意識した中で、戦わないといけない」

 16年ぶりのリーグ優勝へ、チーム一丸となって戦っていくしかない。

 「残り44試合ある中で最後に首位に立っていればいいだけなので。結局は、最後に勝たないといけない。だから、勝てる試合は全て勝っていきたいと思います」

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