頂点を知る男が即答「虎は優勝できる」阪神・嘉勢敏弘打撃投手Vへ思い語る
阪神が各地で熱戦を繰り広げる舞台裏では多くの人が汗を流し、チームを支えている。裏方の仕事にスポットを当てる企画「密着仕事人」。阪神・嘉勢敏弘打撃投手(44)は2005年から同職に就き、打者のために左腕を振っている。現役時代はオリックスで日本一。さらに05年のリーグ制覇、東京五輪では侍JAPANの金メダル獲得にも貢献した。頂点の味を知る男がVへの思いを語った。
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裏方だからこそ分かることがある。嘉勢打撃投手は「優勝しそうか?」という問いかけに、即答した。「うん。今年はずっと思ってるよ」。希望でもなければ、推測でもない。悲願達成への確かな根拠を明かす。
嘉勢氏は頂点を知る男だ。現役時代は96年にオリックスで日本一。05年から阪神の打撃投手として同年のリーグ制覇に貢献。さらに、19年のプレミア12、今年の東京五輪でも裏方として世界一への道のりを支えた。
日の丸を背負い、試合に臨む選手たち。間近でサポートしながら「緊張しすぎて、気分が悪いとか。シーズンとは違う重圧のかかり方というのは、すごく耳にした」と言う。緊迫する試合を全員野球で乗り越え、全勝で金メダルを獲得した。
「やっぱり、チーム力よね。みんなが諦めない。自分をどう犠牲にして、チームを勝利に導くか。甲斐のセーフティーバントとか、細かいことを当たり前にやっていた。雰囲気が良かったよね」
トップへ立つために共通すること。それは「競った試合を拾う。諦めない」-。侍ジャパン、96年のオリックス、そして今季の阪神にはその条件がそろっている。
「4日(巨人戦)なんか、特にそうやん。八回の攻撃で、流れ的には負けたなってなる。だけど、選手が諦めないという姿勢。監督もそれを目指してるわけやん。競った試合を一つでも拾っていけば、テッペン取れるんじゃないかな」
現役時代は野手でデビューし、01年には投手で70試合に登板するなど元祖二刀流として活躍。だからこそ打撃投手として、選手に伝えられることがある。
「俺らは正面から投げてて、打つ体勢っていうのが分かるから。あからさまに何か違うなって時に、言うことはある。選手が何か聞いてきた時にも伝える準備はしてるよ」
中野とは春季キャンプから意見交換。「コーチじゃないから」と立場をわきまえつつ、気付いた点を伝える。打撃投手17年目。体のケアは常に欠かさない。「うちの野球を貫けば、絶対に取れる」。悲願のVに向けて日々、自分の役割を全うしていく。
◆嘉勢 敏弘(かせ・としひろ)1976年10月6日生まれ、44歳。兵庫県出身。94年に北陽(現・関大北陽)からドラフト1位でオリックスに入団。現役時代は二刀流としても活躍した。04年に現役を引退、05年から阪神の打撃投手を務めている。
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