阪神・久慈コーチ 9・24巨人戦での中野のサヨナラ阻止「大きなファインプレー」
久慈照嘉内野守備兼バントコーチ(52)が、24日の巨人戦九回裏に飛び出した中野のサヨナラ負けを阻止するスーパープレーを振り返った。中野と同じく1年目から遊撃レギュラーとして活躍した同コーチ。自身の苦い体験を交えながら、ルーキーイヤーから躍動する背番号51にエールを送った。
絶体絶命のピンチを救うスーパープレーが飛び出したのは24日、巨人との東京ドーム決戦第1ラウンドだ。
九回表に追いついた阪神だが、その裏にスアレスが1死満塁のピンチを招く。三遊間を襲った丸の鋭い打球を、中野が横っ跳びでグラブに収めると本塁へ送球。捕手の坂本は懸命に腕を伸ばし、ワンバウンド送球を懸命にキャッチし、サヨナラ負けを阻止した。
「優勝争いにおいても大きなファインプレー」と話すのは久慈内野守備兼バントコーチ。「なかなかできるプレーじゃない。本人にも聞いたけど、とにかく捕った瞬間投げないと無理だと思ったって。(三走が足の速い)増田大だったしね。誠志郎(坂本)も100点満点だったんじゃないか」と絶賛する。
1992年に中野と同じくルーキーながら、遊撃レギュラーを獲得した同コーチには、忘れることのできない失策がある。同年7月3日の広島戦(金沢)、延長十回裏2死。今回と同じ、満塁のサヨナラのピンチで遊ゴロをはじいた。チームは4連敗となり、3位に転落。涙に暮れたルーキー・久慈はその日、グラブをゴミ箱に捨てたのだった。
「次の日からバッティング練習はなしで守備練習ばっかり。直前までやらされてユニホームを着替えずそのまま試合に出ることもあった」と振り返る。
中野はここまでチーム最多の16失策だが、後半戦はわずか3失策と激減している。
「本人は絶対、失策数を気にしているはずだけど、そこはみんなが通る道。でもいいプレーもして助けてくれている印象も強いからね。よく頑張っている」と目を細め、自身の苦い体験から「あの場面は内野のみんな口の中がカラッカラだったと思う」と、緊迫した場面でのスーパープレーを改めてたたえた。
くしくも92年は、今季と同じくヤクルトと激しい首位争いを演じた末、最後の最後に阪神が失速してVを逃した年だ。「今は年齢的にも中堅クラスで元気な子が多いし、何よりチームが団結しているからね」。久慈コーチは“30年越しのリベンジ”に手応えを感じている。