阪神・伊藤将 今季4度目連敗止めた 江夏級新人や!35年ぶり3人目新人左腕8勝目
「阪神5-2中日」(1日、甲子園球場)
頼もしい新人やで!阪神の伊藤将司投手(25)がチームの3連敗を止める8勝目を挙げた。2リーグ分立後、球団新人が1年目に8勝以上を挙げるのは1967年・江夏豊(12勝)、86年・遠山昭治(8勝)に次いで35年ぶり3人目の快挙となった。勝負の10月は白星スタート。首位・ヤクルトも勝って1ゲーム差は変わらないが、逆転Vへ再加速や!
いくつもの意味を持つ1勝だ。伊藤将が7回6安打2失点とゲームメーク。1カ月ぶりの8勝目でチームの3連敗を止め、偉大な先輩にも肩を並べた。
2リーグ分立後、球団新人左腕が8勝以上を挙げるのは67年・江夏豊(12勝)、86年・遠山昭治(8勝)に次いで3人目。「遠山さんの成績に並べたということは本当に良かったです」。マルテとお立ち台に上がると、マウンド上では変わらなかった表情が緩んだ。
今季の中日戦は2試合で1勝、防御率0・64。相性も考慮され、中7日で重要なカード頭を任された。この日は選手それぞれが登場曲を懐メロに変更。伊藤将は郷ひろみの「GOLDFINGER’99」でマウンドに立ち、熱い投球を展開した。
丁寧にコーナーを突いて、三回までは1人も走者を出さなかった。五、七回に横浜高の先輩・福田にソロを浴びたが、被弾直後はいずれも3人で片付けて流れは渡さなかった。
新人ながら何度もチームの窮地を救ってきた。4月24日に3連敗、7月3日に2連敗、9月1日に4連敗を止めた。自身は9月1日・中日戦以来の白星。今後の登板結果次第では佐藤輝や中野、広島・栗林、DeNA・牧らが繰り広げる新人王争いにも割って入る可能性がある。
あの日の言葉が、後半戦の原動力になっている。7月3日・広島戦(マツダ)。2点リードの七回2死満塁だった。タイムがかかり、うつむいていた左腕。目線を上げると、驚いた。「『え、監督やん!』みたいな感じでした」。目の前には矢野監督。就任3年目で初めてマウンドに向かった指揮官から背中を押された。
「『お前に任せた』という言葉は(印象深い)。本当に後半戦でも自信を持ってプレーできると思います」。忘れられない記憶として刻まれた。その信頼にたがわぬ好投に、指揮官も「将司(伊藤)が流れを作ってくれました」と目を細める。
新人ながら開幕からローテを守ってきた自覚も芽生えている。「ここまで来たので、最後まで投げ抜きたい」。16年ぶりの頂へ、最後まで全力で腕を振る。