【岡義朗氏の眼】狙う、絞るヤクルト打線と漠然とした阪神打線
「ヤクルト4-1阪神」(8日、神宮球場)
優勝を争う天王山の初戦は阪神の完敗。しかも、対戦成績では相性のいいヤクルトに完全にのまれ、気迫負けの形となった。そうした流れを作ったのは、対照的とも言える両チームの攻撃にある。
残り20試合を切って投手は総力戦となる中で、鍵は打者がどう打つか、点を取るかにかかってくる。両チームとも積極的な打撃を見せていたが、内容には大きな差があった。
ヤクルトは狙い球や打球方向を絞っていく積極性だ。象徴的なのは五回。先頭のサンタナは追い込まれてから阪神・高橋の外へ逃げる球を意識して逆方向への打撃に転じて右前打で出塁。1死二、三塁からの塩見は直球に絞って強いスイングをしたため、詰まりながらも右前へ運ぶ2点適時打につながった。
一方の阪神は漠然とした積極性。早いカウントから振りにはいくが、球種などが絞れていないため、タイミングが合わないフォークも当てにいってしまう場面が目立つ。それが制球の良いヤクルト・奥川に打たされてしまう結果となった。
そうした対照的な積極性が流れを作り、3点を追う七回2死満塁では代打・糸井がハーフスイングを取られて三振を喫するなど、最後まで中途半端な打撃が印象として残った。
選手個々の状態もあるが、それを問うている時期ではない。大事なのは気持ちを切り替えること。気持ちが技術を引き出すこともある。絶望的な差ではない。2戦目以降、まずは気迫に満ちた姿で臨んでもらいたい。