「広島２－７阪神」（２４日、マツダスタジアム）

　積み重ねた数字が誇らしい。逆転優勝へ望みをつないだ大一番で魅せた自慢の足。「目標を達成できてよかった」。阪神・中野拓夢内野手（２５）が猛虎新人では史上３人目となるシーズン３０盗塁。盗塁王争いも依然としてトップを快走中だ。

　迷いなく走った。２点リードの七回１死一塁から左前打を放って出塁。「決めたい思いがあった」。１死一、三塁となり、続く糸原への初球でスタートを切り二盗に成功。広島バッテリーを揺さぶり、直後の糸原の中犠飛につなげた。

　先輩たちに肩を並べる３０盗塁目だ。球団新人では０１年・赤星、１９年・近本に続く３人目の大台到達。２４盗塁で２位の近本と６差へ広げ、盗塁王に大きく前進した。

　刺激としているのは同期の存在。この日は先発・伊藤将が１０勝目を挙げれば、佐藤輝が久々の先制３ラン。「（佐藤輝の本塁打は）久しぶりに見たんですけど、本当にすごいホームラン。自分のことのようにうれしかった」。仲間の活躍は自身の活力にもなる。

　残すは１試合。「絶対に勝つしかないので。強い気持ちを持って向かっていきたい」。２１年ラストゲームは聖地での２６日・中日戦。歓喜の瞬間を信じ、プロ１年目のシーズンを笑って終わらせたい。