阪神・伊藤将、月間MVP 球団新人投手3人目 輝と同シーズン新人W受賞はセ界初
セ・パ両リーグは9日、10、11月度の「大樹生命月間MVP賞」を発表し、阪神・伊藤将司投手(25)がセ・リーグ投手部門で初受賞した。5月度受賞の佐藤輝に続き、同一シーズンで同一球団から複数の新人選手が選出されたのはセ・リーグ史上初。セの野手部門はDeNA・牧秀悟内野手(23)が初受賞で、投打ともに新人が選ばれたのもセ・リーグ初に。パ・リーグはオリックス・山本由伸投手(23)と日本ハム・近藤健介外野手(28)がそれぞれ受賞した。
引き締まった表情から時折、白い歯がこぼれる。伊藤将は「初めての月間(MVP)なので本当に光栄だと思います」と喜びを語った。10月は5試合で負けなしの3勝を挙げ、防御率0・98。球団新人投手では藤浪に次ぐ3人目の受賞で、佐藤輝に続き同一シーズンで同一球団の複数の新人選手受賞はセ・リーグ初の快挙となった。
目標に掲げていた2桁勝利を達成した充実の1年だ。球団新人左腕では67年・江夏豊以来の10勝をマークし「本当に良かった。(今季の自己採点は)100点でお願いします」と満足そうに顔をほころばせた。
今季のベストゲームには、10月18日・広島戦(甲子園)を挙げる。五回1死まで完全投球で、7回無失点の快投。「ゴロアウトとか自分の投球スタイルがしっかりできた1試合だった。自分の思ったように体が動いた感じです」と振り返った。
前半戦は6試合連続被弾など苦しんだ時期もあったが、きっちりと課題を消化。外角中心になっていた配球の見直しや制球力の向上に取り組み、「ツーシーム、チェンジアップをしっかり低めに投げられたことが勝利に結びついた」と後半戦の躍進につなげた。
逆転Vを目指したチームの最終盤の粘りにも大きく貢献した。10月13日・巨人戦(東京ド)では中継ぎで3回無失点と好投し、初ホールドを記録。「優勝がかかっている時だったので、その中で必死に投げた結果、こういう結果に結びついたのは良かったです」。新人ながらチームに欠かせない存在として、最後までフル回転した。
矢野監督は「来季もローテーションの中心として今年以上の活躍を期待したいピッチャー」と評価。伊藤将も「来年も2桁勝利を目指して頑張っていきたい」と意欲十分だ。堂々の成績でルーキーイヤーを締めくくり、さらなる飛躍を遂げる。(間宮 涼)
◆阪神新人選手の月間MVP 球団新人選手が月間MVPに選出されたのは今回の伊藤将司(投手)が4人目。過去には1994年5月度の藪恵市(投手)。次いで2013年8月度の藤浪晋太郎(投手)で初の高卒新人受賞だった。2021年5月度の佐藤輝明は球団新人打者で初。また、セ・リーグ球団で、同一シーズンで複数の新人選手が選出されたのは初。パ・リーグでは90年に近鉄の野茂英雄(投手・6月度)、石井浩郎(打者・7月度)の例がある。