【阪神ドラフト選手特集・前川右京(1)】兄の背中追いかけ、強く大きく成長

 津ボーイズでは投手も務めた(本人提供)
 幼少期の前川。右は兄・夏輝さん(本人提供)
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 10月のドラフト会議で阪神から指名を受けた8選手(1~7位、育成1位)の連載。4人目はドラフト4位・前川右京(18)=智弁学園。

  ◇  ◇

 2003年5月18日、阪神が今岡の決勝打で巨人を倒した日に右京は誕生した。母・敦子さんは前川家の次男に「画数とか、音の響き」を考え、「右京」と命名。今では、智弁学園の制服がはち切れんばかりに、たくましく成長した。

 176センチで89キロと恵まれた体格。高校通算37本塁打を放ち、和製大砲としての期待も高い。しかし、中学までは決して、大きくはなかった。細身で「食は細かった」と母は証言する。好き嫌いも多く、ピーマンやにんじんなどの野菜は大の苦手。なぜ、そんな右京が大きくなったのか-。

 そこには、両親のサポートと兄・夏輝さんの存在があった。一つの転機は、中学3年の秋。津田学園に進学していた兄の試合を父・栄二さんと一緒に観戦したことだ。

 「高校生の体を見て、感じたものがあったんかな」と父。それから、高校に入学するまで「食事の面ですごい努力するようになった。親から見ても、一番頑張ったと思う」。津ボーイズでも、毎日1キロのお米を食べてから練習。さらに、「とにかくお米を食べてた」と間食も増やし、見違えるように努力した。

 実はその裏で、右京の背中を押したのは兄の言葉だ。「そんな体じゃあかんぞ」。中学まではライバル関係だった兄からの激励。時には殴り合いのけんかをし、病院へ行ったこともあった。そんな兄が、親元を離れ高校で寮生活をするようになると、次第に尊敬のまなざしへと変わった。

 「(尊敬するのは)全てにおいてです。メンタル面とか、そういうところでサポートしてもらいました」と右京。プロ入りが決まってからも「ここで満足せず、自分の行動一つに気をつけろ」と気を引き締められた。兄の背中を追いかけ、強く大きくなった。

 「もう辞めとけば」と母に心配されるほど、素振りもした。兄と共にバットを振り込んだ和室の畳は、すり減っている。高校では「入学してから、15キロ増えました。食事は一日に6、7食を食べた時もある」と胃袋も成長。母から送られてくる間食のハンバーグが、大好きだった。

 「挫折なんてない。人生まだ全然生きてないんで、挫折なんて言ってたら話にならない」。18歳とは思えぬ、たくましい言葉だ。「色んな方にお世話になった」と、今まで携わってくれた全ての人に感謝し、プロの世界に飛び込む。感謝する一人が、もう一人の“兄”でもある津ボーイズの松本直也監督だ。

【アラカルト】

◆生まれ 2003年5月18日。三重県津市出身の18歳

◆サイズ 176センチ、89キロ

◆投打 左投げ左打ち

◆球歴 小学校1年生でソフトボールを始める。一身田中では津ボーイズに所属。智弁学園では1年春からベンチ入り。甲子園には春夏通じて4度出場(交流試合含む)ポジションは外野で主に左翼

◆高校通算 37本塁打

◆目標の選手 オリックス・吉田正尚、中日・根尾昂

◆ベンチプレス 120キロ

◆家族構成 父、母、兄

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