【阪神ドラフト選手特集・豊田寛(2)】恩師・岩井監督と乗り越えた野球人生最大の壁

 10月のドラフト会議で阪神から指名を受けた8選手(1~7位、育成1位)の連載。6人目はドラフト6位・豊田寛外野手(24)=日立製作所。

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 東海大相模で全国制覇を果たし、国際武道大に進学。寛はそこで恩師・岩井監督に出会った。「今、ここにいられるのも岩井監督のおかげ。技術の指導もたくさんしていただいた」。野球人生最大の壁を大学時代に乗り越えたからこそ、プロの扉が開けた。

 「野球人生で一番最悪な年だったと思います」。こう振り返るのは大学2年の全日本大学野球選手権だ。決勝まで進出したものの、4試合で無安打。「ずっと出させてもらってたんですけど、一本もヒットを打てなくて、大会が終わってしまった…」と悔しそうに振り返った。

 岩井監督は当時、「簡単ではないよ」という言葉を送ったという。

 「我慢比べだったんですけどね。でも、全然ヒットが出なかった。ただ、人生いつでも全国大会でヒットやホームランを打てると思っちゃ大間違いですよね。だから、失敗した時に、いかに本人が上に行けるかどうかですよね」

 寛は「どこか打てるだろうとか、そういう気持ちがあった」と心を入れ替えた。「大学3年からはもう一回、一からやり直そう」と決意。練習に励み、大学3年からは公式戦で常に打率3割以上をマークした。

 持ち味は右方向にも長打を打てること。大学の先輩である阪神・伊藤は岩井監督との電話で「プロに入って1年ですけど、右打者であんな打球を打つプロ野球選手いないですよ。今まで見たことない」と証言した。

 岩井監督も「右打者で左打者が引っ張ったような本塁打を打ちますから」と話す。そして「盗塁は思ったよりしますよ。アウトでもOKという監督と出会えば、何とかなる」とまさに、積極的な矢野野球にピッタリの選手だ。

 ただ、オーバーワークによる故障と、真面目すぎる性格を岩井監督は心配する。何度も足のけがをしており、「8割の力でいい」と指令したこともあったという。

 それでも、岩井監督の期待は大きい。「打って、走って、守れる選手になってもらいたい」。東海大相模、国際武道大、日立製作所とタテジマのユニホームに袖を通し続けた。そして、寛はプロでも虎のタテジマに身を包む。

 ◆豊田 寛(とよだ・ひろし)1997年4月28日生まれ、24歳。横浜市出身。177センチ、85キロ。右投げ右打ち。外野手。小学1年から野球を始め、小学6年では横浜ベイスターズジュニアに選出。中学では戸塚シニアに在籍。東海大相模では4番として2015年夏に全国制覇。国際武道大では1年春からベンチ入りした。日立製作所では2年連続で都市対抗野球出場。

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