【阪神ドラフト選手特集・中川勇斗(1)】プレゼントにホームベースをおねだり

 小牧パンサーズで捕手を務めた中川(家族提供)
 幼少期の中川(提供写真)
 中川の手のひらにある「ますかけ線」(提供写真)
3枚

 10月のドラフト会議で阪神から指名を受けた8選手(1~7位、育成1位)の連載をお届けする。7人目はドラフト7位・中川勇斗(17)=京都国際。

  ◇  ◇

 どこまでも野球が大好きな勇斗。「趣味は特に。特技も特に…。基本、動画は野球しか見ていないので。息抜きは多分、それだと思います」。野球を愛し、そして愛された男がプロの扉を開いた。

 2004年1月27日。母・初美さんはふと、生まれたばかりのわが子の手を見て、あることに気付いた。「まっすぐな『ますかけ線』を発見しました」。「ますかけ線」とは珍しい手相で、感情線と知能線が一直線となって手のひらを横切っている線のこと。徳川家康にもあった天下取りの相とも言われる。「勇敢な子にと思った一瞬でした」と初美さん。体重3650グラムの大きな男の子は、「輝いてほしい」と思いを込めた「斗」と合わせ、「勇斗」と名付けられた。

 勇斗はすくすくと成長していった。赤ちゃんが歩き出す時期は1歳頃が平均とされるが、勇斗は9カ月で2、3歩歩けるように。さらに1カ月後には、普通に歩けるようになったという。性格は「とても頑固ですね」と初美さん。「自分がこうと決めたら、いくら言っても曲げないですね。よく言えば、筋が通っているって感じですけど」。そんな少年は、野球へまっすぐな気持ちを注いでいく。

 きっかけは3歳上の兄・龍世さんが野球を始めたこと。「ずーっとその練習を見ていたんです」(初美さん)。幼稚園からキャッチボールを始め、味岡小1年時に味岡キングスに入団して自身も野球をスタート。どんどんのめり込んでいった。野球以外にも幼稚園まで空手と水泳を習っていたが、自ら「もう辞める。野球だけで良い」と、すっぱり辞めてしまった。

 初美さんが、驚かされたことがある。「小学校低学年の誕生日かクリスマスか…」。勇斗がプレゼントとしておねだりしたのは、なんとホームベース。「ホームベースがほしいの!?って。そんなこと言う子いないじゃないですか(笑)」。両親は実際に真っ白なホームベースをプレゼント。勇斗はとても喜んでいたという。

 自室には、野球ボールがいくつもゴロゴロと転がっていた。いつも暗くなるまで、父や兄とキャッチボールをしたり素振りをしたり…。初美さんから「家に入りなさい!」と声を掛けられるまで、没頭していた。そんな野球が大好きすぎる少年は、小学5年生の時に小牧パンサーズへ移籍。本格的に捕手としての道を歩み始める。

【アラカルト】

 ◆生まれ 2004年1月27日。愛知県小牧市出身

 ◆サイズ 172センチ、72キロ

 ◆投打 右投げ右打ち

 ◆球歴 味岡小1年から「味岡キングス」で野球を始め、同5年で「小牧パンサーズ」に移籍し、捕手を務める。味岡中時代は「愛知尾州ボーイズ」に所属。京都国際では3年時に春夏連続で甲子園に出場し、夏は2本塁打を放って4強進出に貢献。高校通算18本塁打。

 ◆遠投 110メートル

 ◆50メートル走 6秒2

 ◆家族構成 父・健作さん、母・初美さん、姉・ひよりさん、兄・龍世さん

 ◆球を受けてみたい投手 藤浪晋太郎

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