阪神・中野は2軍Cスタート 矢野監督「もう一回奪い取らないと」二遊間争いあおる
阪神は21日、西宮市内のホテルで合同スタッフ会議を行い、春季キャンプ1、2軍メンバーの振り分けを発表した。昨年の秋季練習で下肢を負傷した中野拓夢内野手(25)は2軍スタートが決定。矢野燿大監督(53)は「もう一回奪い取らないとダメ」と、あえて厳しい言葉で説明し、新たな競争をあおった。
昨年のセ・リーグ盗塁王に対しても容赦しなかった。秋季練習での走塁練習中に負傷し、「下肢のコンディション不良」となった中野の春季キャンプ2軍スタートが決定。矢野監督は厳しい言葉で理由を説明した。
「大事を取って?いやいや、拓夢(中野)だってポジションを空けて待つ選手じゃない。ケガをしたのであれば、それはこの世界、出られない。もう一回奪い取らないとダメ。現状は1軍に連れて行けるレベルにないという判断で呼んでいないだけです」
中野はこの日、鳴尾浜での自主トレで両翼ポール間のダッシュなどを行い、「自分的にはほぼ10割のスピードで走れていますし、怖さ自体も全くない。どの動きをするにしても不安は全くない」と話していた。ルーキーイヤーから正遊撃手として存在感を示した男に指揮官があえて“愛のムチ”を振るったのは、中野の奮起だけでなく、激戦の二遊間争いをさらにあおる意味合いが強かったに違いない。
中野不在の宜野座には、春季1軍キャンプ初参加となる遠藤、高寺が招集された。「若い連中に機会を与えてもいいんじゃないかなと。遠藤は去年2軍で1年間しっかりやれたし、高寺も特にバッティングに関してはすごくいいものがある」と矢野監督。「競争に勝っていくにはまだまだ成長しないと」と話す高卒4年目・小幡を含めて、中野、糸原を脅かす存在になってほしいと期待を込める。
「例えば中野も2、3週間した時に“沖縄に来るか”ということにもなるだろうし」と井上ヘッドコーチ。コロナ禍の状況が許せば、キャンプ中の1、2軍入れ替えは行う方針だ。
1軍では2月3、5日にシート打撃、あるいは短いイニングでの紅白戦が行われる予定。「競争の位置に入ってくる選手の底はだいぶこの3年間で上がった。誰が出てくるのかを一番楽しみにしたい」と指揮官。宜野座、安芸の両キャンプで、し烈なレギュラー争いの火ぶたが切って落とされる。