「阪神２軍春季キャンプ」（２日、安芸）

　１日は高校の卒業式に参加していた阪神・森木大智投手（１８）＝高知＝が２日、高知県安芸市で行われている２軍春季キャンプに合流した。初日からブルペン入りすると、初めて捕手を座らせた状態で１３球を投じた。早くも実戦を見据えた投球を行い、高い意識で取り組む練習への姿勢など、平田２軍監督や安藤２軍投手コーチも大絶賛だった。

　ついにこの瞬間が訪れた。１１時３０分。森木がブルペンに姿を現すと、球団スタッフや報道陣らが固唾（かたず）を飲んで見つめた。そんな視線にも動じず、力強い球がミットへと突き刺さる。捕手を務めた栄枝からは「前より全然良い」、「バット折れるよ」と球質の高さをうかがわせる声が飛ぶほどだった。

　「初めてユニホームを着て、座らせて投げたんですけど、結構良い感じだった。自分のフォームを客観視できたので、良かった」

　常に先を見据えている。栄枝を立たせた状態で変化球を交えながら２０球。その後、座らせた状態で直球のみ１３球を投げ込んだ。右打者の内角低めにコースを設定して投じた後、ラスト１球は外角低めへズドン。「やっぱり実戦に近づけていかなくちゃいけないので。そのためにバッターを意識して、どこのコースに投げるか考えてやっています」と、早くも実戦を念頭に置いていることを明かした。

　そんな黄金新人に、絶賛の嵐だ。見守った平田２軍監督は「センスが感じられたよな。コントロールも、もっと暴れるかなと思ってたけど、そんなこともなく。捕手に『インコース寄ってください』って言ったりとかさ、向上心が（高い）」と高評価。安藤２軍投手コーチも「すごくまとまった投球。高卒にしては良いボールを投げるんじゃないかな」とうなずく。

　投球の素晴らしさだけではないのが、ドラ１たるゆえんだ。午前中に参加した投内連係もそつなくこなし「何やらしてもやっぱり一流」と同コーチ。さらに「なかなか今までにいない。あそこまで考えながら自分でやっているのは」と目を細めた。森木は、午後も最後までネットスローを行い「軸足の膝の位置の確認とか」とブルペンで感じた課題を消化。理想を追い求める過程までもが一級品だ。

　順調にいけば、２月後半に実戦デビューの可能性がある。「野球という競技としては勝つっていうことが目的だと思うので、（練習から）勝つためのピッチングというか」と心の準備は万全だ。故郷・高知でスタートを切ったが「１年後は帰ってきません」ときっぱり。全ては１軍で活躍するため。森木伝説の幕開けだ。