阪神・佐藤輝よ「ボヨーンと打て」対談で“岡田節”助言 本塁打量産へ「一球で変わる」

 “Zポーズ”を決める佐藤輝(手前)と岡田彰布氏(撮影・田中太一)※撮影時のみマスクを外しています
 岡田彰布氏(左)と対談する佐藤輝。打撃論に熱が入った
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 阪神、オリックスで監督を歴任したデイリースポーツ評論家・岡田彰布氏(64)が阪神・佐藤輝明内野手(22)と対談した。今キャンプでは打撃フォーム固めに取り組んでいる佐藤輝に対して、岡田氏は「ボヨーンと打て」と独特の表現でアドバイス。打者のタイプに合わせた“岡田節”での助言に、佐藤輝も新たな発見となった様子だった。

  ◇  ◇

 岡田彰布氏(以下、岡田)「2年目のキャンプで取り組んでいることは?」

 佐藤輝明内野手(以下、佐藤輝)「ボールの待ち方ですね。今、意識していることは目線を上げすぎないというか。去年の悪い時は極端に言えば、(右肘を上げて左肩が下がった構えを見せて)こういう状態で待っていたというのはありますね。高めが打てる球に見えてしまうという状況でした」

 -打撃への手応えはつかんできたか。

 佐藤輝「5日の紅白戦は(藤浪からの左越えソロなど2安打して)いい形で打てたと思います。自分の中で割とつかんできているのかなとは思っています。グリップの位置とか、いろいろ試す中で割としっくりきているのでいいかなとは思っています」

 岡田「去年は59打席、安打が出なかったこともあったけどあの時はどうやった?」

 佐藤輝「いろいろと試しすぎて。頭が混乱したというか、体が悪い方向にいってしまっていました」

 岡田「やっぱりシーズン中は、あんまり考えたらあかんな」

 佐藤輝「オリンピックブレークがあったんで。無理にというか、変に考えてしまっていた部分はあったと思います。そこから崩れましたから」

 岡田「バッティングはタイミングだけやから。タイミングさえ合えば、ボール球を見逃せるし、いいスイングができる。だから、みんな素振りが一番いいスイングやもんな。いざ、ボールが来た時にそのスイングができるかやな」

 佐藤輝「素振りはイメージ作りでやったりはしますね。その意識でバッターボックスに行けばいいということなんですかね?」

 岡田「そうやな。もっと、ボヨーンって打ったらええんちゃうかな。ボールをつぶしにいかないでな」

 佐藤輝「ボヨーンですか。もっと、ゆったり打つということですか?」

 岡田「ホームランを打てるバッターは、バットにボールを乗せないとあかん。バットにボールを乗せるから、高く放物線を描くわけよ。ヒットを打つ打者は当てに行くけど。佐藤はホームランを打てるんやから、もうちょっとボヨーンという大きいフォロースイングを取って打ったらええと思うよ。コンパクトにパーンと打とうとするから、あんまりタイミングが合わへんのちゃうかな」

 -ボヨーンのイメージは持っていたか。

 佐藤輝「なんというか無駄な力を入れないというか、ボワーンというイメージというのはありますが…」

 岡田「佐藤はスピンをかけるような打ち方じゃないからな。俺は背も高くないし、ボールにある程度スピンをかけないと飛ばへんという感覚があったけど。佐藤のようなバッターなら、スピンかける必要はないわ。ボヨーンって打ったら飛ぶもん。俺らがボヨーンって打ったら飛ばん。佐藤はボヨーンというような感覚で打てれば、あんまり強く振りすぎなくなる可能性もあるよ」

 (続けて)

 「力をためといてボヨーンと打った方が(フォロースルーで)前も大きくなるし、そんなに力が入っているかどうか分からんぐらいでも、強く振った時と同じぐらい飛ぶと思うよ。それはコツやろうな。自分でつかまんと。ゲームの中でもつかまれへん。フリーバッティングやな。110キロぐらいの打撃投手の球でボヨーンと打って運んだら結構いく。そういうのを練習の中で、自分でつかんだらええと思うよ。やっぱり最終的には自分よ。自分でつかむんよ。つかむ時は来るから」

 佐藤輝「自分次第なんですね!!」

 岡田「ボールの待ち方の話もあったけど、今は、どっちの足で打ってる?」

 佐藤輝「どっちの足で、ですか?」

 岡田「今で言うと、左足に体重が残りすぎているっていうことやろう?」

 佐藤輝「そうですね。今は右にも乗せつつという感じです」

 岡田「やっぱり打つ時(の体重バランス)は5、5やで。テークバックでは力をためないとあかんから(後ろ)6、(前)4か、7、3になる。でも、インパクトは5、5が一番いいスイングができると思うよ。後ろに残り過ぎると、前の肩も浮いてしまうしな。俺は後ろに残しすぎるよりも前へ体重が乗った方がいいと思うよ。残しすぎは差し込まれる」

 佐藤輝「そうですね。去年は体重を残しすぎて差し込まれるというのはありましたね」

 -5日の紅白戦で藤浪から左翼席へホームランを放った。あの打撃は、バランス的にも良かったのでは。

 岡田「あれは前の足にも体重が乗って打てているからな」

 佐藤輝「体重が残りすぎていたらたぶんファウルでしたね」

 岡田「あれは前の足にも乗っているからファウルにならへんかった。やっぱりある程度、前にいかんと。本当に佐藤が自分のものをつかんだ時はもっとグリップは下がっていると思うよ。背が高い選手は(トップの位置が高いと)、ストライクゾーンが遠い。でも、(トップの位置を下げた場合はミートポイントまでの)幅は狭くなっても自分のパワーで補える。それだけ飛ばす力があるから。だから、俺はよく肩(の高さぐらいのトップの位置)から打て、と言うんやけどな。小さい打者はしっかり(トップを)引かないと打てへんけど、佐藤はそこまで引く必要はないよ。(巨人などで活躍した)松井秀喜や駒田徳広とか身長190センチぐらいある選手は打てるようになった時、構えた時のグリップは低くなっている。それは誰かに言われるんじゃなくて、自分でつかんでるんやろうな。それは最終的に覚えると思うよ」

 佐藤輝「僕もトップの高さは考えています。自分でもなんとか下げようとして、去年はいろいろ試してみたんです。オリンピックブレークのある時とか割とトップを下げて、結構良かったんですけど。でも、そこから打てなくなってしまって。結局、最後は元の高い位置に戻したんですけど…」

 -プロで1年過ごして、考えることは増えたか。

 佐藤輝「元々、自分で考えながら練習することが好きなので。今まで(のアマ時代は)バッティングは自分でいろいろとやったり、考えながらやってきましたしね。どちらかと言うと、あまり人の話を聞かないタイプだとは思います(笑)」

 岡田「打撃に正解ってないもんな」

 佐藤輝「はい、そうだと思います」

 岡田「この人の通りやったら正解ってないもん、この世界。すごい選手は最終的にみんな自分で感覚をつかんでるもんな。(指導者の)アドバイスは必要やけど、つかむのは自分やからな、結局。みんなそうよ。良くなる時って自分で見つけないと。いつかは分からへんけど、それを求めていった方がいいと思うな。だから、いろんなことを試すのはいいと思うよ」

 -今年の目標は。

 佐藤輝「そうですねえ…。ホームランを100本打ちたいと思います」

 岡田「オリックスの監督をしていた時、(2010年に)T-岡田がホームラン王を獲ったんやけど、最初は引っ張るバッティングばっかりしてたんよ。楽天戦の前に室内練習場へ連れて行って、『レフト線へ二塁打を打て』と言ったことがあったんよ。そしたらその試合でレフト線に二塁打を打ちよったんやけど、その後に『分かりました』と言うてきて。それから普通にホームランを打ち出してな。そんなもんなんよ。だから、まずホームランよりも打率を上げよう。ピッチャーはヒットを打たれるのも嫌やから結局、抑えようとしたら弱点の近くの(甘く入った)ホームランを打てるようなボールが来るんよ。不思議なもんで。ほんま一球で変わる。一球で覚える。いつ来るかやな」

 佐藤輝「早めに来てほしいですね。去年はキャンプ、オープン戦の時点から良かったので。その感じで前半はいけたんじゃないかなと思っています。それが自信になっていい感じにいけたんですが…。早くその(本当の感覚をつかむ)一球が来てほしいですね」

 岡田「去年は途中であれだけ打てなくなって。もう攻められ方は分かるやろ?」

 佐藤輝「はい」

 岡田「打てんようにならんと、攻められ方は分からん。ずっと打っていたら分からんようになってくるからな。打てんようになるのも必要なんよな、打てるようになるまでの過程でな」

 -内角球、高めのつり球、落ちる球で攻められた印象がある。

 佐藤輝「そうですね、でも、自分のスイングの問題もあって全部打てる球に見えてしまうというか。いい時はそれが見送れていたと思うんですけど。余計にそこを攻められてという感じですね」

 -三振数を減らす取り組みは。

 佐藤輝「もう高めにストライクを取られたら仕方ないというぐらいの意識でいます。僕はどちらかと言うと低い球が得意なので。そこを強く叩くという意識でやっています」

 -プロは1打席で打てる球は少ない。

 佐藤輝「そうですね。だからこそ、ファウルじゃなくて一発で仕留めるのはいいバッターかなと思いますね」

 岡田「このボールを打とうと絞るんじゃなしに、つかんだら体が反応するようになってくるよ。極端に言うたら打たんとこうと思っても勝手に反応して、バットが出てホームランになるとか」

 佐藤輝「いい構えでいけば、ボール球を自然と見送れるようになると思いますし。構え方、タイミングと。そこはキャンプでしっかりやっていきたいと思っています」

 岡田「佐藤は能力があるからなあ。高めボール球もたまに当たったらホームランになるやん?だから、あかんのよ。だから、振ってしまうんよ」

 佐藤輝「そうですね。去年はたまに高めとかインハイも打ててしまう時があったので。だから、無理にそこを打ちにいってしまって。見送れれば良かったんですけど」

 岡田「無意識に振ってしまうんよな。それが全部、空振りとは限らんからな。たまに当たってホームランとかになってしまうんよ。それで勘違いして、また振ってしまうんよな。でも、それは能力があるからや。普通だったら空振りで済むんやけど。それは個々の能力の違いがあるから仕方ないんやけどな」

 (続けて)

 岡田「佐藤は普通に見ていたらいいバッターって分かるやんか。人にない遠くに飛ばすとかそういう能力があるんやから。それを求めていった方がいいと思うよ。今年は頑張らんとあかんな。もう4番で使ったらええんやけどな」

 佐藤輝「しっかり結果を残してからだと思っています。文句なしに4番を任されるように頑張りたいと思います」

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