【藤田平氏の眼】緩みっぱなしの阪神
「阪神春季キャンプ」(28日、宜野座)
最後まで緩みっぱなしだったのではないか。阪神・矢野監督が今季限りでの退任を公表し始まった今キャンプ。しかし、最後まで矢野監督を花道で飾らせようという本気度がチームから感じられなかった。
その光景は残念だった。広島との練習試合が雨天中止となった23日。練習前に糸井と西勇の発案で矢野監督が“予行演習”で胴上げされた日だ。室内でレギュラーの2選手がコーチからノックを受けていた。ただ途中から片方の選手が、もう1人へノックを始める。ニヤニヤと笑い緊張感のない様子で。コーチも傍らで笑っていた。
キャンプの様子を中継するCS放送でも流れていた場面だが、壁に耳あり障子に目あり、だ。開幕前の大事なキャンプで、この様子を見たファンは一体何を思うだろうか。
成長した選手は佐藤輝を除いていない。佐藤輝は下半身と上半身の連動性を意識した打撃に。左方向に強い打球を飛ばしており、打率を残せる打撃への取り組みが分かった。一方、他の選手は去年と変わらない。
基本は疎(おろそ)かにし、練習メニューは改良が見られない。他球団より戦力は整っている。だが緩みを感じさせるチームが勝てるだろうか。ふんどしを締め直してほしい。