阪神・中野が逆襲宣言 正遊撃手「取り返す」 開幕へ「変わったと思われるよう」進化誓う

 昨季めざましい活躍を見せた中野
 安芸キャンプでノックを受ける中野=2月11日
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 下肢コンディション不良からの復活を目指す阪神・中野拓夢内野手(25)が1日までにデイリースポーツの取材に応じ、正遊撃手を「取り返す」と力強く宣言した。安芸キャンプでは、リハビリ組でメニューをこなしたが「10割近く自分の中でも動けている」と完治間近を予告。開幕に照準を合わせており、矢野監督に「変わったな」と思われるような進化を見せる。

  ◇  ◇

 凍(い)てつくような寒風が吹き荒れ、時には雪が舞った安芸で、中野は己のやるべきことに集中していた。ミニハードルを使用したダッシュ、安芸ドーム内での打撃練習を黙々とこなす。下肢コンディション不良の影響を感じさせない軽快な動きも見られ、本人も自信を漂わせていた。

 「ほとんど10割近く自分の中でも動けていると思いますし、痛みも全く無い状態なので。今は本当に、完全に治っているといってもいいくらいの調子で来ているのではないかなと思います」

 一人の時間が多いキャンプだった。全体メニューから外れ、トレーナーが見守る中でのダッシュや体幹トレーニングを重ねていた。「(本隊と)一緒に練習している時間はほとんど無かった」と話すが、左関節鏡下肩関節唇形成手術からの復活を目指す北條の姿に目を奪われたという。

 「一緒に(リハビリ組で)練習を行っていた北條さんから、ケガから『復活してやろう』というような気持ちや雰囲気が自分にも伝わってきました。そういった(復活を目指す)背景は自分も一緒で、ケガから復帰しないといけない立場。復活するという気持ちの強さというか、(リハビリ組も)復活に向けてやるべきことをしっかりとやっているなと感じました。自分はそこをやっていかないといけないなと感じました」

 新人だった昨季は4月中旬からレギュラーに定着。135試合に出場し、盗塁王を獲得する活躍を見せた。しかし、キャンプ前に矢野監督から「ケガをしたのであれば、この世界は出られない。もう一回、奪い取らないとダメ」と厳しい言葉をかけられた。正遊撃手の座を空けて、待ってはくれない。中野は自分の置かれた現在地をしっかりと理解している。

 「全然、僕はレギュラーと確定しているわけでもない。安芸キャンプスタートという状況でもあると思うので、自分としても本当に取り返していかないといけないなという気持ちが強いですね」

 宜野座キャンプでは、正遊撃手返り咲きを狙う木浪や小幡、若手では遠藤や高寺もアピールしたが、同じポジションを争うライバルたちに「負けないためにやっている」と語気を強めた。開幕に100%の態勢を整え、はい上がりを期待する指揮官にも変わり身を示す。

 「矢野監督も期待してくれているのかなと思うので、なんとかその期待に応えられるようにしていきたい。矢野監督からも『変わったな』と思われるように頑張りたいですね」

 昨年11月7日のCSファーストS・巨人戦(甲子園)を最後に、中野は実戦から離れている。キャンプ中も別メニュー調整だったことから、試合出場はなし。実戦勘を養うことが難しい状況だったが、ゲームの雰囲気を味わうことを大切にしていた。

 「安芸のグラウンドで試合があるわけなので、外野席から観戦して、そこで自分なりに試合の雰囲気だったりを感じていました。投手の球に関しては打席に立たないと分からない部分もあるんですけど、試合の雰囲気を見ることによって感じることは、今後に生きてくると思う。雰囲気を感じられるように、試合中はなるべくメイン球場に行って、少しでも見ようとしていました」

 23日にはドラフト1位・森木や同5位・岡留のフリー打撃登板も外野席からこっそりチェック。リハビリや練習を淡々とこなすだけではなく、イメージをつかむために、本人が連呼している“やるべきこと”を徹底していた。

 故障の再発防止に向け、スプリントコーチの秋本真吾氏からは“走り方改革”を受けた。盗塁王を獲得するほど走塁技術は高い選手。ただ、走る時に後ろの足に負担がかかりすぎる傾向があり、それがハムストリングスを痛めやすい要因になっていた。

 そこでキャンプでは後ろの歯を外し、前の歯だけを残した特殊なスパイクを着用。現在は、つま先に体重が乗るような走り方の習得を目指している。

 「ハムに負担がかかってしまうような走り方だったので、それを変えるために、なるべく後ろの歯を使わずに、つま先だけで走るような感覚にしたいと。後ろの足をかくという動作も少なくなってはきますし、それがケガ防止につながってくる走り方にはなると思うので。キャンプでは、それを習慣付けるといった意味で取り組んでいました」

 今年はスパイクの形状などを変更するつもりはないとのこと。だからこそ、キャンプ中につま先重心の走り方を体に染みこませ「(練習用で)特殊なスパイクを使ったり、自分の走り方が元の形に戻らないように、関西に戻ってからもミニハードル走などを行って、浸透させていきたいです」と明かしていた。

 安芸キャンプスタートは「正直、最初は悔しいなという気持ちがありました」と本音を漏らすが「それでも上に行って100%動けたのかというと、それはできなかったと思う」と冷静に振り返る。

 走り方を見直すことができたと同時に、体幹トレーニングを重点的に取り組めたことが大きかったという。主にインナーマッスルを鍛えるウエートトレーニングやチューブトレーニングを約1カ月間の日課としてきた。

 「安芸に来たことで走り方のことであったり、もう一回体作りといいますか。シーズンに向けて1年間戦う体を作らないといけないと思いますので、そういう部分が大切だと自分でも感じた。いい意味でこっちでトレーニングがしっかりできている。自分はチューブやインナー系が結構苦手ということもあったので、体幹を鍛えることもできました」

 もちろん、宜野座キャンプのことは気になっていた。キャンプ映像などで1軍の試合などを確認。「そこはやっぱり輝(佐藤輝)のことであったり、他の選手の状態はどうなのかなというのが気になるところもあります。(デスノックなどをこなした)輝はたぶんしんどいだろうな~」とこの期間に連絡は取ることはなかったが、同期・佐藤輝の奮闘ぶりもしっかりと確認していた。

 今季の抱負として、「50盗塁」や「2年連続盗塁王」、そして「ゴールデングラブ賞」と高い目標を設定している。意欲ではなく、あえて断定調で言及していることに意味があると中野は言う。

 「高い目標を言うことによって、自分にもプレッシャーを与えられるというか…昨年も新人王という目標を掲げて獲ることはできなかったんですけど、それに近い活躍は自分の中ではできたのかなとも思います。今年に関しては50盗塁って正直、多いかなっては感じましたけど(笑)。やはり、それくらい高い目標を設定することによって自分がやってやろうというか、そういう気持ちも出てくると思うので、あえて高めに設定しています」

 3月25日のヤクルトとの開幕戦(京セラ)まで1カ月を切っている。高く設定した目標に挑戦するためにも、まずは万全に戦う態勢を作ることを優先していく。

 「本当に開幕へ照準を合わせている部分もある。焦らず、ここでもう一回ぶり返してしまったら、シーズンもダメになってしまうと思う。細心の注意を払いながら気をつけながら練習して、メリハリをつけてやっていきたいです。何も不安なく動くことが一番大事。なんとか、今の二遊間争いの競争に勝てるように、しっかりと3月は万全の状態でアピールしていきます!!」

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