２年連続で開幕投手を務める阪神・藤浪晋太郎投手（２７）が２４日、京セラドームで最終調整し“開幕星”を誓った。新型コロナウイルスの陽性判定を受けた青柳の代わりとして託された大役。自然体を貫く一方、キャンプから取り組んできた成果には手応えをにじませた。入場制限なしとなる大一番で、昨季日本一に輝いたヤクルトに挑む。

　気負いはない。藤浪はどこまでも自然体だった。大一番の前日もリラックスした表情でキャッチボール、ダッシュなど、黙々と練習メニューをこなした。

　「慣れなのか分からないですけど、去年は２日前に緊張して。でも昨日も今日も落ち着いて過ごせてます。いい状態で迎えられると思います」

　淡々と紡ぐ言葉に手応えがにじむ。キャンプから実戦計７試合に投げ、防御率２・６３。最速１６０キロを計測した直球を軸に、１１０キロ台のカーブで緩急を付けるスタイルもすっかり浸透。２４イニングで９四死球と制球の向上も数字で示した。ずっと求めてきた安定感に藤浪も納得顔だ。

　「技術面では投球のバランスが安定しているというのはありますし、投球自体に幅も出てきていると思う。割と余裕を持ってマウンドに上がれるのかなと思っています」

　１年前、神宮でのヤクルトとの開幕戦は５回５安打２失点。中継ぎが打たれ開幕星はお預けとなったが、粘投でチームに勝利を呼び込んだ。青木、山田、村上らが並ぶ強力打線に、今年も粘り腰を発揮するつもりだ。

　「粘り強く投げれば流れは引き込めるんじゃないかと思う。去年、日本で一番強かったチームなので勝てたら勢いづくでしょうし、個人としてもチームとしても、勝ちたいのでしっかり投げたい」

　この日、母校・大阪桐蔭がセンバツの１回戦を突破。ドームで少し試合を見たという藤浪は「勝ってくれたらうれしいし、刺激にもなります。いいものを見せてもらった」と喜んだ。開幕戦はファンの入場制限もなく「雰囲気も違うと思う。皆さんに楽しんでいただけるようなピッチングをしたい」とキッパリ。スタンドの熱気を力に変え、開幕星を届ける。