阪神・伊藤将 初星スルリ プロ初適時打、1-0完封目前もあと1球で暗転
「阪神1-6DeNA」(6日、甲子園球場)
あと1球。あと1球だった。1-0の九回2死二塁。牧の放った無情の打球が、阪神・近本のグラブをかすめて芝生に弾む。二走・桑原が同点のホームを踏むと、聖地が悲鳴に包まれた。プロ初の完封勝利が目の前でスルリとこぼれ落ち、伊藤将はマウンド上で立ち尽くした。
「1点差という緊迫した試合の中で、全体的に粘る投球はできたかなと思います。ただ、九回、何とかあのピンチを抑えて勝ち切りたかったです」。九回裏のスコアボードには「0」が刻まれ、初白星はお預けとなった。
それでも、今季初の甲子園は独壇場だった。丁寧にコーナーを突き、持ち味の打たせて取る投球。三回は安打と四球などで2死一、二塁と初めてピンチを背負ったが、楠本を内角高め直球で左飛に打ち取った。四回無死二塁からは打者15人を連続アウト。前回30日・広島戦(マツダ)では3巡目につかまり七回途中6失点だったが、見事に修正した。
あと1球まで、この日は“将司デー”だっった。0-0と均衡状態が続いた五回2死一、二塁の打席では、石田の初球をバットの先にしぶとく当てて左前へ。二走・大山が生還し、チームに貴重な先制点をもたらすプロ初打点をマークした。
矢野監督も「もちろん、責めることはない」ときっぱり。「あそこ(九回)は将司に任せようと思ったので。同点に追いつかれて、あの後しっかり(アウトを)取ってくれたんでね。将司の仕事っていうのはしっかりやってくれたと思います」とねぎらった。
「次回はああいう場面でしっかり抑えきれるように、また次の試合に向けて準備して臨みたいと思います」と左腕。この悔しさは次戦で晴らす。