【新井貴浩氏の眼】阪神・熊谷は面白い チーム動かす2番 近本の足引き出す上で非常に大事
「DeNA7-5阪神」(21日、横浜スタジアム)
チームとして連打で得点できない状態が続く中、大事なのは足を絡めた攻撃。走塁でチームを動かすことだ。打順のテコ入れがあったこの日なら、スタメン2番で起用された熊谷が面白い。
1番に戻った近本の足を引き出す上で2番は非常に大事。試合前に「この日の対戦投手なら盗塁できる」といった近本の意思確認から始まり、同時に“待てる打撃”も求められる。近本の二盗後に打つケースが増えるためで、自然と不利なカウントも多くなる。それでも右方向への打撃で三塁まで進めるチーム打撃に徹することができるか。この日の熊谷は初回に右前打、三回に先制右犠飛。共に逆方向の打球だった。
今のタイガースにとって2番打者の育成はポイントのひとつ。熊谷の他に小幡の存在も面白いだろう。得点圏に走者を置いた場面で3番・佐藤輝、4番・大山に打席を回したいだけに、1番・近本とクリーンアップをつなぐ2番の役割は重要だ。
一方、リリーフ陣は2番手・馬場がイニングまたぎで逆転された。ただ、この日は木曜で、ベンチは投手起用のマネジメントをしなければならない。週末のカード最終戦となる日曜なら小刻みに継投する考えもあったと思う。
チーム全体で見ればこれ以上の下はない。投打がかみ合わない試合が続くが、選手は逆に胸を張ってやればいい。こういう状況だからこそ若手も試合に出られるチャンスだと捉えればいい。下を向いていても何も始まらない。