阪神・糸井 反撃口火タイムリー&激走Vホーム 三重殺の汚名返上“5打席連続安打”もマーク
「阪神3-2中日」(28日、甲子園球場)
砂ぼこりが立ち残った本塁で阪神・糸井嘉男外野手が両手を大きく広げた。リクエストでも判定は覆らず、勝ち越しの1点がスコアボードに刻まれる。固唾(かたず)をのんで見つめた3万5221人は、この日一番の歓声を上げた。
2点差を追いついた四回1死二、三塁。坂本の遊ゴロが転がった瞬間、三塁走者として一気にスタートを切った。「前に転がったら絶対にホームに帰ってくると思って準備していた」。筋骨隆々の肉体を揺らしながら、スライディングで逆転の本塁に突入。遊撃・堂上の送球が一塁側にそれる隙に足を入れ、執念の生還を果たした。
2点を追った無死一、三塁の場面では、初球を鋭く振り抜いて右前適時打。「(佐藤)輝の激しい打球を見た直後だったので、刺激を受けました」と直前に痛烈な右前打を放っていた大学の後輩に感化された。二回1死では左前打も放ち、マルチ安打をマーク。27日・中日戦の3安打猛打賞から5打席連続安打と快音を響かせまくった。
前夜はアウトカウントを勘違いしたのか、四回無死一、二塁の高山のライナーで一塁走者が封殺された後に、二走としてベースを離れてタッチアウト。23年ぶりとなる三重殺の当事者となった。汚名返上のチャンスとなった一戦。足で、バットで聖地を沸かせた。
40歳でも衰えない肉体。昨季、左膝の故障に苦しんだ糸井は栄養管理に最大限の気を配る。シーズン中も休日は行きつけのジムに通い、トレーニング中に飲むドリンクの中にはアミノ酸系のサプリを投入。ただ「肉離れするから」と故障に直結する物質は排除するなど、強い体作りを継続している。
「とにかく毎日勝てるようにやっていくだけです」と勝利に飢える超人。逆三角形の大きな背中で、チームをけん引していく。