鬼門を恵方にするための秘策はあるのか 名古屋で勝てない矢野阪神 今季5戦全敗
また勝てなかった。ここに来ると、阪神はなぜか苦しむ。投手陣は変わりなく奮闘するのだが、打線が鉄球でも打たされているのかように快音を封じられる。ナゴヤドームからバンテリンドームに名称が変わっても、三塁側ベンチを覆う空気にあまり変化はない。
前日6日、大野雄の前に9回までひとりの走者も出せない完全投球。延長十回2死から佐藤輝が中越え二塁打を放って完全試合は食い止めたが、ゼロ更新は続いて最終的にはサヨナラ負け。
不振の4番・大山を6番に下げたこの日は、二回に大山が一時同点の適時打を放ったが、再び1点を追った四回1死二、三塁の絶好機で大山は初球の変化球を捉え損ねて三ゴロ。次打者・小野寺も空振り三振に倒れて無得点。最後まで追いつくことができず、今季のバンテリンドームでは5戦5敗と勝利から見放されている。
私が阪神担当を務めていた1999年から01年、2013~14年も、名古屋の地に苦しめられた(2013年は6勝5敗と勝ち越したが)。当時、選手は「ここに来るまでは好調でも、ここに来ると、なにか息苦しさというか、圧迫感を覚えるんですよ。それが打てない原因になっているというか、まあ言い訳になっちゃうんですけどね」と語っていた。
97年の開場以来、305試合で106勝192敗7分けの勝率・348。借金86が物語るように、勝ち越したのは過去5度だけで、負け越しは19度を数える。
鬼門とは北東を指し、鬼の出入り方角であるとして忌むべき方角とされている。甲子園球場のある兵庫県西宮市から愛知県名古屋市東区のバンテリンドームは北東方面に近い、まさに鬼門。
阪神が本拠地を変えるか、中日の本拠地が変わらない限り、方角的な鬼門は不変。成績不振も含めた鬼門、鬼門と言われ続けて、はや26年。鬼門を恵方とする秘策はないものだろうか。(デイリースポーツ・鈴木健一)