岡田彰布氏 阪神は「きっかけ」の作り方の再考を 選手起用は地に足を着けて判断を
阪神、オリックスで監督を歴任した本紙評論家・岡田彰布氏が12日、開幕から39試合で10度も零封負けを喫した阪神に現状打破へ提言した。矢野監督が常々求めている浮上への「きっかけ」を作るためにも、選手起用の段階から地に足を着けて判断していく必要性を説いた。
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阪神の貧打は深刻な状況だ。矢野監督は「きっかけ」という言葉をよく口にしている。だが、「きっかけ」の作り方をもう一度、考えてもらいたい。
10日の広島戦は大山、佐藤輝を外野に回してまで一塁にマルテ、三塁に北條を起用した。これは以前からずっと言い続けていることだが、大山と佐藤輝はチームの軸となる選手。「一塁・大山」、「三塁・佐藤輝」は固定するべきだ。
開幕4番を任せた佐藤輝は2番、3番も打った。守備位置も右翼、三塁と先発どころか、試合の中でも動いている。大山も同様だ。これでは選手は戸惑うのも無理はない。「きっかけ」が欲しいとはいえ、動かす選手を間違っている。
また、2軍から上がってきた選手を「きっかけ」として期待して起用するのであれば、万全の状態でなければならない。
そもそも昇格してくる選手は2軍で好調で、周囲から納得されて送り出されないといけないのだが、北條は左肩手術から復帰し、2軍の6試合で打率・200。マルテも右足のコンディション不良から復帰して6日に実戦復帰したばかりで万全とはいえない。そういう状態の選手を起用しても、「きっかけ」となる可能性は低いだろう。
選手の見極めも重要だ。糸原は11日・広島戦の六回無死一塁で、坂倉の二ゴロを握り損ねて併殺を奪えず走者が残り、小園の同点打へつながった。チーム内ではリーダー的な立場なのかもしれないが、打撃も打率・196と精彩を欠いている。
以前、中日・立浪監督が試合途中に京田を2軍へ降格させたことがあった。矢野監督は前向きに戦う方針のため厳しいことはしないだろう。
だが、成績は数字として出るし、プレーはみんなが見ている。状態が悪ければ外し、2軍で好成績の選手を起用することも手だ。「1軍で試合に出たい」と必死な選手を起用することは「きっかけ」となるだろう。
外国人選手も同様だ。ロハスは11日・広島戦の1点差の八回1死二、三塁で、初球から2球連続でボール気味の球を空振りした後、空振り三振に倒れた。マルテも含め、今のような状態なら外国人に頼る必要はない。さい配では動くことも必要だが、起用は地に足を着けて考えてもらいたい。