【中田良弘氏の眼】阪神・ウィルカーソン 野球センスが引き寄せた白星
「DeNA1-8阪神」(15日、横浜スタジアム)
阪神・ウィルカーソンのいいところは、ボールが指先から離れる瞬間に最大の力を集められているところだね。直球のスピードとしては140キロ台中盤なんだけど、思い切り腕を振っていることによって打者が差し込まれ、ファウルになっている場面が多かった。
この腕の振りによって良さを引き出されたのがチェンジアップ。遅い球を投げる時も、直球を投げる時と同じ速度で腕を振れていたから、すごくボールが抜けていた。
野球センスの高さも感じた。二回の犠打、五回に野選を誘ったセーフティー気味のスクイズ。バントをする形としては、膝を使うというより、手に頼ったように映って見栄えはしないかもだけど、なんとしても転がす、走者を進めるという意識が見えた。ハマスタは5点ぐらいリードがあっても、投手からしたら落ち着かない球場なだけに、いずれも得点に絡んだ犠打で自らを助けた。
ベンチからすれば、投げるだけでなく、しっかり犠打ができる投手というのはありがたい存在。試合中の所作、イニング間に梅野とコミュニケーションを取っている表情を見ても、日本野球に順応しようという姿勢が見える。この先も楽しみだ。