【小山正明氏の眼】阪神・藤浪には自信を持ってストレートを投げ込んでもらいたい
「阪神(降雨中止)広島」(5日、甲子園球場)
中止に伴って阪神・藤浪の先発が来週以降になったようだが、久しぶりの先発が今から楽しみでならない。今のプロ野球界の中にあって、ピッチングを見てみたいと思わせる数少ない投手だからだ。
高校時代、右打者のアウトローに投げ込む直球は抜群だった。プロに入ってから、制球難から少し影を潜めてはいるが、今回もカギになるのは直球のコントロールだと思う。
投手の基本はやはり直球で、直球があってこその変化球であるという僕の考えに変わりはない。藤浪には、ほかの投手が投げたくても投げられない魅力のある直球がある。右打者の内角に抜ける球を恐れて、スライダーやカットボールを多く投げているのかもしれないが、藤浪には自信を持って、思い切り腕を振ってストレートを投げ込んでもらいたい。立派な戦力になる直球。その姿をファンも楽しみにしているはずだ。
ここからは、今の先発投手全体への苦言を聞いてもらいたい。先発投手たるもの、先発したら完投を目指す。球数にして1イニング15球計算で最低135球は投げる覚悟でいてもらいたい。ただ、肩は消耗品という考えからか、キャンプから球数を投げる投手が減ってきている。
練習でやってきていないものを試合で出せるほどプロは甘くない。夏場だからといって練習を加減するのではなく、夏場だからこそ投げ込む日があっていいと僕は考える。投げ込む中で体の動かし方、腕、手首の角度を理解して、正しい投げ方が染み込んでくる。これを機に、一人でも多く耳を傾けてくれたらと思う。