阪神・近本は社会人時代から「特異」だった 担当スカウトが明かす「評価ポイント」とは
阪神・畑山俊二統括スカウト(58)が11日、取材に応じて、6日の広島戦(甲子園)で30試合連続安打の球団タイ記録を達成した近本光司外野手(27)へ祝福メッセージを送った。同スカウトは社会人・大阪ガス時代から近本を担当。アマチュア時代から変わらない姿勢や、評価したポイントなどを明かした。
畑山統括スカウトは「すごいよね。彼の探究心のたまものじゃないかな」と快挙を喜んだ。社会人時代から担当し、ほれ込んだのは近本の芯の強さ。大阪ガスのキャンプを視察した際、近本のスイングが周囲と比べて「特異」に映ったという。
「アマチュアではチーム方針の打ち方というのがあるんだけど、彼は自分のスタイルを崩してなかった。信念を持って自分のスイングというものに取り組んでいた。それがすごく印象に残ってるね」
ブレない姿勢に加えて高く評価したのが打力だ。「自分の軸を崩さず左バッターで足が速いのに走り打ちじゃなくて、しっかり振り切れる。だから左(投手)も右も苦にせずに打てる。小さいけどパンチ力もある」。プロではトップバッターのイメージが強いが、社会人最終年はポイントゲッターとして5番を任された。今季、3番で活躍している姿も不思議ではないという。
「タイトルを取っても新しいことに取り組んだり、あれだけ盗塁王を取ったら、固執しそうなものなんだけど(笑)。そことは違うところを目指したり。今年は長打は減っているけれど、ヒットを打つ確率は着実に上がっているよね」
プロ1年目から2年連続盗塁王に輝き、昨季は最多安打のタイトルを獲得。本塁打も初の2桁10本に乗せた。それでも現状に満足せず、成長を目指す姿を同スカウトは頼もしそうに見つめている。
「このまま10年、チームの中心選手として引っ張ってもらえる確信がある」。“外れ外れ”1位入団も過去の話だ。2度クジを外してしまうほど虎と深い縁があったのだと今では思える。「小さい選手は一気に成績がガクッとくる例が過去にあるからね」。心配はケガだけ。「太く長い」現役生活を送ってくれることを願っている。(デイリースポーツ・杉原史恭)