岡田彰布氏 阪神・佐藤輝は苦しい状況でも“4番らしい三振”を チームの士気に関わる
「阪神0-2中日」(13日、京セラドーム大阪)
阪神、オリックスで監督を歴任したデイリースポーツ評論家・岡田彰布氏が13日、阪神-中日戦を解説。好機で凡退するなど、不振が続く佐藤輝に4番としての姿勢の重要性を説いた。
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阪神は2試合連続完封負けで26イニング連続無得点となった。打線はコロナ禍で大山、中野、近本が離脱。他球団の佐藤輝に対するマークは厳しくなるのは当然だろう。佐藤輝はまだ2年目で頑張ってはいると思うが、気になる場面があった。
四回無死二、三塁。小笠原の外角変化球に対して、力のないスイングで空振り三振に倒れた。4番がああいう空振りをするシーンは見せてもらいたくない。下位打線の打者なら分かるが、4番の姿はチームに影響する。苦しい状況だとは思うが、チームの士気のためにも“4番らしい三振”を意識してもらいたい。
スイングを見ていると状態は悪い。六回2死一塁で3球目の変化球への空振りはまともなスイングになっていなかった。八回2死一、二塁で、ロドリゲスの初球の158キロ直球を空振りしたスイングも完全に振り遅れていた。今はホームランが出るような打撃になっていない。
これはずっと言い続けていることだが、まず構えた時のバットの位置が高過ぎる。構えを変える以外にも、左投手の時は右足を少し引いて構えて、球を見やすくするとか工夫が欲しい。打って結果が出ていればそのままでいいのだが、打てていないのにずっと同じように打っているように見える。
今年の序盤は去年みたいにインコースを突かれていたが、今は普通に攻めて抑えられるようになっている。去年も夏場に失速したが、今年も同じ事の繰り返しなりつつある。
ただ、これは佐藤輝だけの問題ではない。毎日見ている打撃コーチも気づいて指導しなければならない。なんとか現状を打破してもらいたい。
一方、先発の藤浪は今年の開幕から一番いいピッチングだった。
立ち上がりからコントロールが安定していたことが一番だろう。六回に失点したが、五回までは初球がボールだった打者は3人だけで、悪いカウントにもならなかった。マウンドで堂々と投げていたし、自分の中でも「ストライクは取れる」というのが感じられた。
四球を出さなければ、あれだけのボールが投げられるわけだから連打を許すことはないし、今日のような安定した投球になる。
課題は走者を背負った時だろう。クイックで制球が乱れることがあった。六回は先頭を出して犠打の後、暴投とスクイズで、中日にうまく点を取られたが、今日のような投球を続けてもらいたい。