阪神・西勇がマウンドで笑う余裕 巨人のプライドはズタズタ?高代氏「ちょっとねぇ」
「巨人0-4阪神」(19日、東京ドーム)
阪神が西勇輝投手(31)の完封でAクラス争いのライバルに先勝した。デイリースポーツウェブ評論家の高代延博氏は「主軸打者に徹底した攻めを見せた配球の勝利」と阪神バッテリーを称賛。終盤の致命的失点で西勇に余裕を与えてしまった巨人バッテリーの配球には首をかしげた。
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巨人はアクシデントによる山崎伊の降板こそ残念だったが、投球内容には目を見張るものがあった。横の揺さぶりと緩急で攻める西勇と似たようなタイプで、見事な投手戦を展開していたね。
しかし、最後は巨人の最大の弱みをさらけ出したような試合になった。中継ぎ投手が打たれて終わってみれば完敗。これを“投手力の弱さ”というひと言で片づけられるのかどうか。
私は違うような気がするね。厳しいようだが、少し枠を広げてバッテリーの差と考えたい。
最大の疑問は八回に登板したクロールが二死一、二塁で佐藤輝を迎えた場面での配球。ここでなぜ初球にカーブを選択したのか。この球を中越えに2点三塁打され、致命的な追加失点となった。
佐藤輝は依然として内角高めの速い球に苦しんでいる。4番に戻ってはいるが、まだ迷いが残っていると感じる。先のヤクルト戦を見ていても分かる。
それは大城も理解しているはずで、山崎伊に対してはうまくリードして、2打席とも抑えていた。それだけに“なぜ”という疑問が残ってしまう。
狙い球を絞り切れずに迷いながら打席に入っていても、変化球が高めの甘いゾーンに来ると、体が反応して打てることがある。速い球だとそれが難しい。
おそらく佐藤輝はカーブを待って打ったのではないと思う。そこへど真ん中のスローカーブ。これは打たれても仕方がない。
七回、山崎伊を救援した今村が佐藤輝に打たれたのは高めに浮いたフォークボール。詰まっていたが、これも同様の理屈で打てたような打球だった。
一方、阪神サイドは中田に対してシュートを多用して内角を攻めた。ホームベースからやや離れて立っている岡本には外角攻め。これを徹底していた。
苦しんでいるポイントを攻め続ける。その差ではないか。坂本のリードに完璧に応えた西勇の制球力も見事だったけどね。
巨人はこの終盤の失点が、西勇に余裕を与えることになってしまったかな。彼のマウンドでの様子がガラっと変わったから。
何をしゃっべってるんやろう。何を笑ってるんやろう。そういうシーンが見られたが、ちょっとねぇ。これはさすがに相手チームに対して失礼だと思う。
(七回裏、西勇は打席で構えようとする中田が眼中にあるのかないのか。プレート上で何かをしゃべり始め、思わず中田が打席を外すシーンがあった。八回は代打のウィーラーを打席に迎えて、今度は笑う顔が見えた。これもテレビ画面に大映しになった。ウィーラーもまた打席を外した。自分自身が打席に入った時は、投球直前に打席を外すような仕草を何度も見せた)
おそらく西には相手を刺激したり幻惑しようという考えはないと思う。だが、こういった一連の振る舞いは見る側にとって、あまり気持ちのいいものではない。それだけは言えるね。