「阪神５－０ＤｅＮＡ」（２５日、京セラドーム大阪）

　凡打を安打に変えてしまう。それが虎のヒットメーカーだ。阪神・近本が新型コロナウイルス陽性判定から復帰後３戦目で今季１２度目の猛打賞。離脱中に抜かれていた最多安打争いで猛追。トップのＤｅＮＡ・佐野に１本差と迫った。

　もどかしい思いを抱えていた。自身が戻ってきてから２試合連続完封負け。「連勝している中で帰ってきて、プレッシャーを感じていた。申し訳ないなというのは感じていたので」。ようやくつかんだ白星に「これから連勝できるようにやっていきたい」と気持ちを新たにした。

　ヒットパレードの上演は試合序盤だった。初回、１死二塁の場面。二塁へボテボテのゴロを放つと驚異の速さで一塁に到達した。自慢の快足で内野安打をもぎ取り、一、三塁からすかさず二盗。リーグトップタイとなる２３個目の盗塁を決め、ロハスの先制押し出し四球を呼び込んだ。

　三回は先頭で左前へクリーンヒット。１死後、大山が左中間へ打球を放ったのを見て、迷わずダイヤモンドを回った。懸命に追った左翼・佐野のグラブは届かず、一気に生還。ハイレベルな走塁センスも見せつけた。四回に遊撃内野安打を放ち３打席連続安打だ。

　２４日は自主トレ地の鹿児島県・沖永良部島の子どもたちを球場に招待した。自身も淡路島で生まれ育ち「閉ざされたところで生活しているっていうのはね、社会経験だったり、外出ないと分からないと思うので」との考えを示す。経験則から「外に出て感じることは多いと思う。関西ってこういうところだったんだと、子どもたち同士で話してもらえたらすごくいいなと思います」と成長の機会を提供した。連敗ストップに貢献した近本が和製クリーンアップの一角として、最後まで全力を尽くしていく。