【岡田彰布氏の眼】阪神の守備采配は不可解 選手にもファンにも失礼

 今季初右翼の大山(左)とプロ初二塁の佐藤輝
 1回、岡林の打球をはじく右翼手・大山
 7回、溝脇の打球を捕球し遊撃手・中野へバックトスする二塁手・佐藤輝(撮影・山口登)
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 「中日5-2阪神」(26日、バンテリンドーム)

 阪神、オリックスで監督を歴任したデイリースポーツ評論家・岡田彰布氏(64)が、阪神首脳陣が佐藤輝明内野手(23)に、公式戦ではプロ入り後初めて二塁を守らせた起用への影響を危惧した。中日の先発・大野雄に対して、攻撃重視で大山を今季初めて右翼で先発させた采配にも、疑問を呈した。中軸2人を動かし続ける采配から、最下位転落を懸念した。

  ◇  ◇

 阪神は今季初めて大山を右翼で先発起用した。ここまで23度も零敗を喫し、この日の相手先発が大野雄だから、首脳陣は点を取ることを優先した布陣で臨んだのだろう。だが、そもそも『大野雄を打って勝つ』ということを考えない方が良かったのではないか。

 大野雄とは何度も対戦してきており、対策をしても、なかなか点を取れていない。

 まして、西勇を先発させている試合だ。ならば、打って点を取るより、守り切って0-0で引き分けに持ち込むぐらいの考えでスタートした方がいい。守備重視のスタメンでも、もしかしたらどこかで点が入るかもしれないわけだ。

 結果として大野雄からは2点を奪いながら初回の大山、六回のロハスと拙守が失点につながった。ただ、これは首脳陣が点を取るための打線を組んでいるわけだから、選手がかわいそうだし、仕方ない面もある。

 さらに七回には佐藤輝にプロ入り後、初めて二塁を守らせた。この時点で3点差。まだ逆転できる可能性は十分にあった。チームはCS進出の可能性も残している。この状況で4番にシーズンで未経験のポジションを守らせる采配には、全く意図が見えなかった。

 佐藤輝はオープン戦で一度守っているとはいえ、七回無死一塁で後藤の飛球は危なっかしい捕球だったし、八回2死一塁では3番の右打者・阿部の場面で、二盗のカバーに遊撃・中野が入ったり、試合に出られる準備をできていないことは明らかだった。

 この起用は守備軽視とか、そういう問題ではない。選手にもファンにも失礼ではないか。チームがバラバラになってしまうことが心配だし、ファンもお金を払って勝ち試合を期待して球場まで来て、佐藤輝のセカンドを見たいと思うだろうか。

 残り30試合を切ってCSを争う中、クリーンアップの佐藤輝と大山に今季初めてのポジションを守らせることは理解できないし、今季何度も見てきた「あわよくば」という采配に見える。最下位・中日とは3・5ゲーム差。こういう戦いをしていては、最下位転落もあり得るのではないか。

 ◆佐藤輝の二塁 22年3月12日、中日とのオープン戦(甲子園)1試合で「人生初」と振り返った先発二塁。この試合では九回まで守り5度の守備機会を無難に処理した。

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