阪神・ドラ1森木 大器の片りんみせた 黒星デビューも堂々QS 矢野監督1軍再登板示唆

 プロ初先発の森木は気迫あふれる投球を見せた(撮影・田中太一)
 プロ先発の森木は中日打線を相手に力強く投げ込む(撮影・田中太一)
 6回、声を張り上げベースカバーに走る森木(撮影・飯室逸平)
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 「中日4-1阪神」(28日、バンテリンドーム)

 ホンマに勝たせてあげたかった-。阪神のドラフト1位・森木大智投手(19)=高知=がプロ初登板初先発し、6回3失点でプロ初黒星を喫した。それでも打線の援護がない中で、五回までわずか1安打投球と大器の片りんを示した次代のエース候補。この日投じた91球の先には間違いなく、明るい未来が待っている。

 不安や怖さはなかった。ドキドキと高鳴る鼓動さえ心地良い。「程よい緊張感というか、いいイメージを持ちながらいけました」。森木が、待ちに待った1軍デビューだ。

 「ある程度、冷静に。真っすぐで押せたところもありましたし、変化球でタイミングをずらすこともできた」

 初回、圧巻デビューの“目撃者”からは1球ごとにどよめきと拍手が湧き起こった。先頭・岡林を二ゴロに仕留めると、続く大島の2球目にこの日最速154キロをたたき出した。その後、1死二塁のピンチを背負うも、近本の好送球に助けられ無失点。すると勢いは加速した。

 全91球中、直球の割合は実に6割を超えた。1軍の本格派投手でも5割前後と言われる中、地をはうような低めの直球でグイグイ押した。五回まで13人連続アウト。打線が拙攻を続けても、相手に主導権を渡さない。そのマウンド度胸と天性のストレートは大器の片りんだ。

 それだけに悔やまれたのが六回。この試合初めて先頭打者の出塁を許し、2死三塁のピンチを背負った。岡林には内角を狙った直球が甘く入り、一、二塁間を破られた。

 先制の1点を失うと、阿部にも浮いたフォークを捉えられ右越え2点二塁打で計3失点。「フィニッシュボールをもうちょっと厳しくいけたら。詰めの甘さというか、コースの勝負球が甘く入った」。1球で命運が変わる1軍のマウンドを経験し、「修正していきたい」と前を向く。

 「7、8割の力感」が理想だ。1軍のローテ投手が意識する感覚だが、森木は「その感覚は高校の時からやっていた」と言う。中学時代に軟式で150キロをマーク。プロ入り後もその剛球に注目が集まるが、「思いっきり腕を振って150キロだったら打てる。でも、軽く流しているように見えて手元でガッて来られたら刺されたりする」と“大人の投球”もすでに心得る。

 課題と収穫の6回3失点で自己採点は「65点」。球団で高卒新人がプロ初登板初先発で勝利すれば史上初の快挙だったが、刻まれたのは初黒星。それでも矢野監督は「大したもんだよね。あの投球なら、まだ見たい」と今季中の先発機会を与える考えだ。

 「次は勝ちを取れるように」とリベンジを誓った右腕。未来のエースが、力強い第一歩を踏み出した。

 ◆高卒新人今季初1軍登板 今季12球団の高卒新人投手で森木が最初の1軍登板。大学・社会人を経ての入団では巨人・大勢(関西国際大)、オリックス・椋木(東北福祉大)、西武・隅田(西日本工大)らがすでに勝利を挙げた。阪神高卒新人投手の1年目1軍登板は森木が13人目だが、初登板初勝利は実現していない。

 ◆森木 大智(もりき・だいち)2003年4月17日生まれ、19歳。高知県出身。184センチ、90キロ。右投げ右打ち。投手。背番号20。高知高で1年春の四国大会からベンチ入り。3年春に自己最速の154キロを記録。最後の夏は県大会決勝で明徳義塾に敗れ、高校3年間での甲子園出場はかなわず。今季ウエスタン11試合で4勝2敗。

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