阪神・近本 セ界最多H 3試合連続マルチで村上超え138安打“チカレーザー”でも魅せた

 8回、近本は右越えに先制適時三塁打を放つ(投手・戸郷)=撮影・山口登
 5回、丸の打球を三塁へ好送球し、坂本の進塁を阻止する近本(撮影・田中太一)
 5回、近本が丸の打球を三塁へ好送球し、坂本の進塁を阻止する。三塁手は糸原(撮影・田中太一)
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 「阪神2-2巨人」(2日、甲子園球場)

 勝ち切れなかった悔しさは残る。無念のドロー。それでも背番号5の躍動は残り18試合への期待を膨らませた。阪神・近本光司外野手(27)が八回に先制の適時三塁打。3試合連続マルチ安打で安打数と盗塁数でリーグトップに立った。五回には“チカレーザー”を発動して坂本を串刺し。走攻守で輝きを放った。

 1、2番のお膳立てに心が燃えたぎる。覚悟を決めた一振りで、近本が重たい試合に風穴を開けた。試合終盤での先制適時三塁打。難敵・戸郷から甲子園で25イニングぶりの得点だ。

 鮮やかな初球打ちだった。0-0の八回、中野の安打と糸原の犠打で1死二塁の場面。「いい形でチャンスを作ってくれたので、もう自分は思い切っていくだけと思っていました」。浮いてきたフォークを逃さず捉え、前進守備を敷いていた右翼手の頭上を破った。

 さらに続く佐藤輝の三ゴロで抜群のスタートを切り、快足を飛ばして2点目のホームを踏んだ。直後の守りでケラーが2点を失って引き分けに終わったが、結果的にこの2点目が命綱に。矢野監督は「あの2点はチカ(近本)が取った」と賛辞を贈った。

 初回の中前打を含めて3試合連続のマルチ安打で今季138安打。並んでいたヤクルト・村上に1本差をつけて再びリーグ単独トップに躍り出た。2年連続最多安打へ加速。そして昨季は中野に譲った盗塁王のタイトルも視野に入る。初回、1死一、三塁から今季25個目となる二盗を決め、リーグ2位のヤクルト・塩見に2個差をつけた。

 守備でもビッグプレーがあった。五回2死一塁の場面。丸の中前打に素早くチャージし、三塁へ“チカレーザー”を発射。少しでもそれていればセーフのタイミングだったが、正確なワンバウンド送球で一走・坂本の進塁を阻止。巨人側のリクエストでも判定は覆らず、好投を続けていた西勇をアシストした。

 1日は2号ソロ含む4安打1打点と暴れまくった。例年、尻上がりに調子を上げていく近本にとってはこれからが見せどころだ。9月は「すごい大事にしている」と勝負の時期に位置づけている。ペナント終盤。チームもCS進出を勝ち取るために負けられない試合が続く中、背番号5の存在が何より頼もしい。2022年も残り18戦。ヒットメーカーが打線をけん引する。

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