阪神・糸井 引退を決断 球団はポスト打診へ 近日中に会見 41歳の超人今季出場61試合
阪神・糸井嘉男外野手(41)が今季限りで現役引退することが12日、分かった。近日中に会見を行う。4日に、球団と自身の進退について話し合いの場を持つことが明らかとなっており、その後話し合いがなされ、熟考の末にこの日までに引退を申し入れたもよう。今後も球団に関わるポストが打診される可能性が高く、数々の超人的なプレーを見せてきた男がタテジマを脱ぐ。
筋骨隆々の肉体、走攻守三拍子そろった抜群の能力、そしてユニークな発言でも沸かせて「超人」と呼ばれた糸井が、現役生活に別れを告げる。
41歳シーズンだったプロ19年目の今季。3月25日・ヤクルト戦(京セラ)では「6番・左翼」で開幕スタメンを勝ち取ったが、61試合の出場で打率・222、3本塁打、22打点と結果を残せず。8月10日には新型コロナウイルスに感染し、離脱後は2軍で調整を続けていた。
4日に自身の進退について、球団側に会談を申し出ていた。3日のウエスタン・広島戦(鳴尾浜)で「1番・左翼」で出場して以降、実戦機会はなし。この間、熟考を重ね、タテジマを脱ぐという決断に至った。
野手転向がなければ、今の糸井は存在していない。2003年度ドラフトで近大から自由獲得枠で日本ハムに投手として入団したが、2年間で1軍登板なし。06年の3年目から外野手への挑戦を決め、才能が開花していく。
オリックス時代の14年には首位打者(打率・331)、16年には53盗塁で盗塁王を獲得。09年の日本ハム時代~19年の阪神在籍時にかけて11年連続で規定打席に到達し、5度のベストナイン、7度のゴールデングラブ賞など球界を代表する外野手に成長した。
13年には第3回WBC日本代表メンバーとして日の丸を背負った。16年オフにFAで阪神に移籍後は、脚部の故障に苦しむ姿も見られたが、リハビリを乗り越え、グラウンドで勇姿を見せてきた。
ここまで通算1726試合の出場で打率・296、171本塁打、765打点、300盗塁という華々しい実績を誇る。球団は功績をたたえ、20年に現役引退した藤川SAや21年にユニホームを脱いだ岩田CAのように、今後も球団のポストを与える可能性が高い。
5日にデイリースポーツなどで“進退伺”の報道が出た際には「紙面をにぎわしてしまい…しっかり話し またご報告させてください 糸井嘉男」と自身の公式ツイッターで投稿していた。近日中に開かれる会見で、真っすぐな思いを伝える。
◇糸井 嘉男(いとい・よしお)1981年7月31日生まれ、41歳。京都府出身。188センチ、99キロ。右投げ左打ち。外野手。背番号7。今季推定年俸8500万円。宮津から近大を経て、2003年度ドラフト自由枠で投手として日本ハム入団。06年に野手転向。07年3月27日・オリックス戦(京セラドーム)でプロ初出場初先発(8番・左翼)。13年オリックス移籍。17年FAで阪神移籍。首位打者・盗塁王各1回、最高出塁率3回、ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞7回。13年WBC日本代表。