阪神・糸井、超人卒業 19年「やりきりました」 輝に愛のムチ「もっと練習せい!」
さらば、超人-。阪神・糸井嘉男外野手(41)が13日、兵庫県西宮市内で記者会見し、今季限りでの現役引退を表明した。超人と呼ばれ続けたベテランは「もう超人ではないのかな」と吐露。「やりきりました」と完全燃焼で19年間の現役生活に区切りを付けた。会見の最後に坂本、糸原らと登場した近大の後輩、佐藤輝には「もっと練習せい!!」と愛あるエールを送った。21日の広島戦(甲子園)で引退試合に臨む。
泣かないと決めて糸井は壇上に上がった。会見の冒頭でも「昨日泣きすぎて一睡もしていないので、今日は泣きません」と笑顔で予告。それでも最後に坂本、糸原、佐藤輝ら後輩がサプライズで登場すると、うっすらと涙目になりながら、3選手とハグを交わした。
「もうやりきりました!!41歳まで野球ができて本当に幸せでした。甲子園で初めてプレーさせてもらって胸が高鳴った。最後、そこ(聖地)で終われるというのは本当に幸せ」
勝負師としての顔はなく、スッキリした表情を浮かべていた。引退を決意した理由を問われると「もう超人ではないのかなと感じましたし」と明かした。
ファームで若手選手を指導し、結果につながることが心の底からうれしかったという。闘志の火が消えていたわけではない。それでも「邪魔ではないけど、(若手の成長がうれしいと思うことは)選手じゃないのかなと自分自身、感じていた」と潮時を悟っていた。
プロ3年目に投手から野手へ転向。当時、日本ハムの高田GMから「糸井君(投手で)使えないよ」と通告されたと笑う。しかし、不断の努力を重ねて大成し「向上心、諦めない気持ちが成長させてくれた」と胸を張る。
16年オフにFAで阪神移籍後は金本前監督(デイリースポーツ評論家)、矢野監督に出会った。「おい、補欠」と電話でいじられた金本氏には「そんな成績でようそこまでやったのう」と連絡をもらい「最高のねぎらいの言葉をいただきました」。矢野監督には「代打が多かったけど、腐らずにやってくれた」と言われ、涙が出そうになった。
「もっと練習せい!!」と佐藤輝には熱血エールだ。同門で左打者と、共通点の多い後輩に「絶対に球界を代表するような選手になってほしい」と、自身を超えるスター選手になることを望んでいる。
涙目の坂本には「辞めるのやめるって言いませんか」と問われたが「やっぱり辞めます」と爽やかに笑った糸井。後輩たちに虎の夢を託す。引退試合は21日・広島戦。幼い頃から憧れ続けた甲子園でフィナーレを迎える。
◆糸井の記録アラカルト
▽ゲーム最多二塁打記録 10年6月15日・ヤクルト戦で4本放ちNPB記録樹立。
▽最年長(当時)盗塁王 16年、35歳で53盗塁し、タイトル獲得。
▽6年連続3割&20盗塁&ゴールデングラブ賞 09~14年まで史上初の6年連続。
▽投手から野手転向 04年日本ハム入団時は投手。06年に野手に転向後、首位打者1回、盗塁王1回、ゴールデングラブ賞7回など、球界を代表する外野手となった。
◆糸井 嘉男(いとい・よしお)1981年7月31日生まれ、41歳。京都府出身。188センチ、99キロ。右投げ左打ち。外野手。背番号7。今季推定年俸8500万円。宮津から近大を経て、2003年度ドラフト自由枠で投手として日本ハム入団。06年に野手転向。07年3月27日・オリックス戦(京セラドーム)でプロ初出場初先発(8番・左翼)。13年オリックス移籍。17年FAで阪神移籍。首位打者・盗塁王各1回、最高出塁率3回、ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞7回。13年WBC日本代表。