岡田次期監督なら雰囲気一変 笑顔、虎メダル、身だしなみ「緩さ」撤廃 阪神番が占う心の内

 今シーズンは本塁打を放った選手に矢野監督からメダルが掛けられた
 次期監督に内定している岡田彰布氏
 満員の甲子園球場
3枚

 阪神第35代監督に岡田彰布氏(64)の就任が内定した。オリックス監督時代の2012年は担当記者として密着し、16年と今年はデイリースポーツ評論家の岡田氏に付いたデイリースポーツプロ野球デスクの西岡誠(41)が『岡田の心』と題し、18年ぶりのリーグ優勝を狙う来季の岡田野球を4回掲載で占う。第3回は「チーム作り」編。

  ◇  ◇

 来季から阪神の雰囲気は一変するだろう。

 矢野監督は選手ファースト。個人の可能性を広げる意図で、複数でのポジション起用を続け、試合では選手を信じて任せる場面が多かった。「超積極的」、「諦めない」、「誰かを喜ばせる」を掲げ、明るく前向きに、楽しむことをモットーとした。

 岡田氏の考えは対極にある。大前提は「1軍は勝たないといけない」。語弊を恐れずに言えば選手は「駒」。指揮官はチームの勝利のために選手を動かす、という考え方だ。

 監督にはそれぞれの考えがあるため、善しあしは別として、方針が変わればチームも変わる。岡田氏は今の阪神に「緩さを感じる」と話してきた。全員が目指す勝利のために、まずはチーム内に変化を求めるはずだ。

 ベンチで笑っている選手がテレビ画面に映ると、「試合に勝ったら、なんぼでも笑ったらええよ。でも、試合中に笑う必要はない」と言った。佐藤輝がユニホームの第1ボタンを留めずにプレーしていることには「ユニホームは戦闘服やのになあ。先輩も留めてるのに、誰も何も言わへんのかな」。わずかな部分からもチーム状況を推察していた。

 本塁打が出た後、ベンチ前で選手に掛けられた虎メダルもなくなるのではないか。「選手にメダルを掛ける時間があれば、俺は次のことを考えるな」。チーム内の状況を確認してからになるが、同じ方向を向いて戦うために改革に着手していくだろう。

 指揮官としての考え方は、現場を離れてからも一切ぶれていない。オリックスの監督だった2010年。開幕戦でスタメン表に名前を記入後、「4番・DH」のカブレラが「DHではなく、守備に就きたい」と言い出した。すると、先発外しを即決。誰であろうとチームの和を乱す言動は許さない。

 継投一つにも気を使う。「負けてる展開でも、選手は『何でこいつを投げさせるんや?』というのは感じるで。試合を捨てたんかって」。先導役として、チームの導き方には細心の注意を払う。全ては勝利を目指し、同じ方向を向いて戦うためだ。

 ファンあってのプロ野球。岡田氏は甲子園のスタンドを眺めながら「毎試合、こんだけのお客さんが来てくれてるんやで」と何度も後押しのありがたさを口にしていた。ファンサービスの重要性を感じる中で、一番重視するのがグラウンドでのパフォーマンス。ひたむきに勝利を目指すチームを作り上げ、ファンへの恩返しを果たす。

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