阪神・矢野監督 退任会見で涙 「夢と理想語りながら」やり切った4年間“矢野ガッツ”締め
今季限りで退任する阪神・矢野燿大監督(53)が15日、大阪市内の電鉄本社で藤原崇起オーナー(70)にシーズン終了報告を行い、会見に臨んだ。何度も涙ぐみ、言葉を詰まらせる場面もあった、約50分に及ぶ異例のロング会見。最後は笑顔の“矢野ガッツ”で4年間の監督生活を締めた。
シーズン中の厳しい表情とは打って変わり、矢野監督はすっきりとした穏やかな顔で会見に臨んだ。悔しすぎるCSファイナルS敗退から一夜明け、冒頭に「昨日はさすがにあまり寝られなかった。でも今は気持ち的にはすっきりしています」と笑顔を見せた。
込み上げる思いを抑えることができず、涙で言葉を詰まらせる場面も何度かあった。その一つが4年間の印象深い勝利を問われた時だ。監督就任初年度の2019年6月9日の日本ハム戦。梅野の三盗をきっかけに七回に追い付き、九回は高山、北條が2死からつないで、大腸がんから復活した原口がサヨナラを決めた。
「あの試合はいつ思い出してもジーンとくる。失敗も怖いし、えー……それも理解できるんで、そこで挑戦してくっていうのが、うん…素直にすごいなって思える試合だった」。何度も涙で詰まりながらも、必死に言葉をつないだ。
キャンプイン前日の退任表明は「結果的に開幕のスタートにつまずく原因になった可能性もある。迷惑をかけてしまったというのは、素直な部分ではあります」と振り返る。
それでも「夢と理想を語りながらやる野球は貫けた、やり切ったという思いはある」とうなずき、「リーグ優勝も日本一もできなかった悔しさも同時にあるが、『強いチーム』は作れませんでしたけど、本当に一丸となって『良いチーム』は作れたかなと思う」と胸を張った。
2軍監督で2年、1軍監督で4年。“教え子”の戦いは続いていく。「ファンの皆さんには、可能性のある選手がいると実感してもらえたと思う。来年以降が本当に楽しみ」。現役時代も合わせて合計20年のタテジマ生活。岡田新監督の下で選手が躍動する姿を思い描き、最後は笑顔でピリオドを打った。