【岡田の野球 道一筋6】誰よりも阪神ファン 野球人生の集大成となる日本一へ
いよいよ発足した阪神の第2次岡田政権。4年間の矢野野球が終わり、これから始まる「岡田の野球」とは?デイリースポーツ評論家時代の岡田監督と行動を共にしたプロ野球デスクらが、その神髄に迫る最終回。
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岡田監督は11月25日に65歳を迎える。歯に衣(きぬ)着せぬ解説などから、気難しい印象を持つ人がいるかもしれないが、普段は「気のいい関西人」だ。
同年代と比較すると、心身共に若い。趣味のゴルフのスイングは力強く、今も250ヤード以上は飛ばす。肉や串カツなどを好んで食べ、午前2、3時まで酒を飲むことも。「体力は落ちたで。歳には勝てんわ」と言うが、二日酔いした姿はほとんど見たことがない。
昔から駆け引きを要する将棋、麻雀が得意。最近は自宅で録画した西村京太郎原作のサスペンスドラマを見て、推理することを楽しんでいた。先を読む…いや、もっと先を読み、考えることが好きな根っからの戦略家だ。
性格は曲がったことが大嫌い。物事の白黒をはっきりさせ、決してぶれない頑固さがある。一方で情には厚く、人とのつながりを大切にする。
還暦を迎えた2017年。ユニホームを脱いだ後も親交を持つ約50人によるゴルフコンペが企画されたが、前日にぎっくり腰を発症してしまう。満足に動ける状態ではなかった。それでもカイロプラクティックで少し状態を改善させると、何食わぬ顔でコンペに臨んだ。ラウンドして、食事会、二次会まで参加。赤いニット帽などをプレゼントされると、穏やかな表情で「こうやって集まってくれることがうれしいよな」。支えてくれる人のためなら動く人だ。
そして、誰よりも阪神ファン。だからこそ、古巣の話題になると“スイッチ”が入る。特に優勝から遠ざかっている現状には、もどかしさを募らせていた。「力はあるのに。外から見てるだけやけど、OBとして歯がゆいわ」。今回は満を持しての監督復帰。「長いことはできへんけど、何とかしたいよな」。野球人生の集大成として、愛着あるユニホームに再び袖を通した。
忘れ物を取りに行く再登板でもある。04年の監督就任から現在も、サインに必ず座右の銘「道一筋」を記す。幼い頃にファンだったミスタータイガース・村山実氏の座右の銘「球道一筋」から「球」の1文字を取った言葉だ。なぜ取ったのか。
「『球道』は分解したら、『王の道を求める』となるやろ?だから、最初はまだやめといた方がいいと思ってな。日本一になったら『球』をつけようと思ってな」
第1次政権では05年の日本シリーズで敗退。「負けたから、まだそのままにしとるんよ」。阪神とともに歩んできた人生は、まだ道半ば。今度こそ王者へ。さあ、いこか-。(西岡 誠)