「阪神秋季キャンプ」（１１日、安芸）

　沖縄にＶ戦士も集結よ－。阪神の岡田彰布監督（６４）が１１日、来春の沖縄キャンプに臨時コーチとして野球評論家の赤星憲広氏（４６）、鳥谷敬氏（４１）を招へいするプランを明かした。阪神の貴重な優勝経験者の指導プランに「そら違うよ」と期待感はたっぷり。今後、球団が両者とスケジュール調整を行い、何としても実現にこぎ着ける構えだ。

　近本が憧れの赤星氏から盗塁の極意を教わり、激しく二遊間のレギュラーを争う面々が、鳥谷氏から守備の秘けつを聞く。想像しただけでワクワクするような“夢プラン”を岡田監督が明かした。

　「赤星も鳥谷も来るよ。日にちをな、あとは（調整して）。あいつらには言うてあるけど。赤星はテレビの仕事も入っているから。うまいこと、日にちを合わせてな」

　実戦形式の練習が始まるまでの前半期間に、２人を臨時コーチとして呼ぶというのが指揮官の構想だ。すでに春季キャンプでは第３クール中と思われる、２月１１、１２日に１、２軍全員をチーム分けした上で、各日１２イニング制の紅白戦を行うことは決定している。

　「できれば紅白までにしてくれ言うたんや。まだ練習の過程の中で、来てくれた方がな」と説明。基礎練習が中心となる第２クールまでに、指導を行ってもらう考えを明かす。

　期待されるのは、技術指導だけではない。同じ宿舎内で寝泊まりし、時には酒を酌み交わしながら、憧れのＯＢからこれまでの経験、野球観などをじかに聞く。その有形無形の効果は計り知れない。

　和田豊監督時代の２０１２年には、春季キャンプの臨時コーチを務めた赤星氏。今春の日本ハムキャンプでは、新庄新監督に臨時コーチとして呼ばれており、「日ハム行くんやったら、こっち来いや」と岡田監督も笑う。一方、２１年に現役引退後は野球評論家を務める傍ら、パナソニック野球部でコーチを務める鳥谷氏は、古巣での指導は初めてとなる。

　選手、コーチ、監督として優勝を経験している岡田監督に、選手、コーチでＶ経験のある平田ヘッドコーチ、和田２軍監督がいる。さらに１軍打撃コーチに内定済みの今岡氏も、春季キャンプには参加予定だ。

　そこに０３、０５年優勝経験者の赤星氏、０５年Ｖを知る鳥谷氏と『岡田野球』を知る２人が、臨時コーチとして加わる。虎の歴史を彩ったＶ戦士が沖縄に集結。「やっぱりそら違うよ。何か、選手もな」。オール阪神態勢で、１８年ぶりの“アレ”を狙っていく。

　◆赤星憲広（あかほし・のりひろ）１９７６年４月１０日生まれ、４６歳。愛知県出身。現役時代は右投げ左打ちの外野手。大府高から亜大、ＪＲ東日本を経て、２０００年度ドラフト４位で阪神入団。盗塁王５回（０１～０５年）、新人王（０１年）、ベストナイン２回（０３、０５年）、ゴールデングラブ賞６回（０１、０３～０６、０８年）。０９年現役引退。現役通算３８１盗塁はＮＰＢ歴代９位タイ。通算成績は１１２７試合で打率．２９５、３本塁打、２１５打点。

　◆鳥谷敬（とりたに・たかし）１９８１年６月２６日生まれ、４１歳。東京都出身。現役時代は右投げ左打ちの内野手。聖望学園から早大を経て２００３年度ドラフト自由枠で阪神入団。２０年ロッテ移籍。２１年現役引退。最高出塁率（１１年）、ベストナイン６回（０８・１０～１１・１３～１５年）、ゴールデングラブ賞５回（１１・１３～１５・１７年）。１９３９試合連続出場は歴代２位。通算成績は２２４３試合で打率・２７８、１３８本塁打、８３０打点。１３年ＷＢＣ日本代表。