阪神・佐藤輝 血染めの75分完走 岡田監督ダメ出しに「リベンジ」志願の特守で成長体現
「阪神秋季キャンプ」(20日、安芸)
阪神・佐藤輝明内野手(23)が20日、全体練習後の個別練習で、自ら志願して75分間の特守を行った。19日は背中の張りで同メニューをリタイアするも、リベンジの意味も込めて2日連続で参加。途中で右手の指にボールが当たって治療するアクシデントもあったが完走し、岡田彰布監督(64)も佐藤輝の気合を評価した。
夕日でオレンジ色に染まった太平洋を背に、佐藤輝は必死に白球を追いかけた。三塁に就き、ノックの打球に懸命に食らいつく。前日の悔しさを晴らすべく、最後の一球まで力を振り絞った。
全体練習後の個別練習にて、志願の特守を75分間実施。初めの60分は北條らとともに行い、最後の15分は1人で汗を流し続けた。途中でイレギュラーした打球が右手の指に当たって血を流すアクシデントに見舞われながらも「全然大丈夫です」と約5分間の治療を受けて再び続行。「昨日全部できなかったので、リベンジということで」と志願の理由を明かし、すがすがしい表情で汗を拭った。
前日19日には同メニューに参加するも、途中で背中の張りを訴えてやむなくリタイア。体力不足を露呈する形となり、岡田監督は「みんな元気で(ノックを)受けてるのに、そこでリタイアやろ。ノックの数も受けれないということやんか」と苦言を呈していた。
このままでは終われない-。その後のチーム宿舎での夕食前、佐藤輝は「やらせてください」とこの日の特守参加を平田ヘッドコーチに直訴。フルメニューをこなせなかった悔しさを晴らすため、リベンジを志願した。
強い気持ちで挑んだこの日、前日までと同様にアップから先頭を走った。全体での守備練習も軽快にこなし、フリー打撃では83スイングで6本の柵越え。そしてサブグラウンドに移動しての特守だ。指揮官は「自分から言うてきよったんや。『特守は入れてください』て。そらあ、(佐藤輝の意識が)変わらんとあかんからのぉ」とニンマリ。フルメニューをこなした佐藤輝の姿を喜んだ。
侍ジャパンでの活動後、12日から秋季キャンプに合流。指揮官は初日の佐藤輝の動きの悪さを見て、三塁固定の方針を撤回する可能性を示唆するなど、練習に取り組む姿勢を指摘してきた。そういったゲキを受け続けた佐藤輝は「鍛えられました」とキッパリ。志願の特守でメンタル面の成長も体現した。
21日で秋季キャンプは終了。主力としての自覚を胸に、来季に向けてさらなる進化を遂げる。
<今キャンプの岡田監督&佐藤輝>
11月12日 佐藤輝が秋季キャンプ合流。打撃の状態について岡田監督が「どっちかっていうと悪なってるよな。飛距離とか」とダメ出し。指導する段階にも至っていない見解を示す。
同13日 岡田監督からの厳しい言葉に発奮するかのように佐藤輝が打撃フォーム修正に着手。グリップ位置を下げ、スタンスの幅を広げる。
同15日 岡田監督が佐藤輝に対し初めて直接指導。これまでの高いグリップ位置からのスイングに「猫パンチになるやん」と独特な表現で指摘。
同19日 佐藤輝が背中の張りで別メニュー。大山、中野らと共にアップから先頭に立つことを指示したばかりだった岡田監督は「先頭走ってリタイアしたらあかんわな」。