阪神・湯浅 大躍進を予感させた“光投” 史上最速10敗のDeNA戦で見せた衝撃の投球

 143試合のペナントレースにおいて、デイリースポーツ記者の心に残った試合、場面を振り返るオフ企画『一投一打』。阪神担当の間宮涼記者は、阪神・湯浅京己投手(23)の好投を振り返る。史上最速で10敗に到達した4月6日・DeNA戦(甲子園)で“八回の男”が見せた投球の衝撃を記す。

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 暗闇のまっただ中だったからこそ、その光はより一層まばゆく見えた。4月6日・DeNA戦(甲子園)でチームは延長戦の末に敗れ、史上最速で10敗に到達。この試合を選んで良いものか迷ったが、湯浅が見せた投球の衝撃がどうしても消えなかった。

 同点の延長十一回に登板。先頭・大田の打球を右翼・佐藤輝がダイブするも後逸し、三塁進塁を許した(記録は三塁打)。いきなり絶体絶命のピンチに陥り、上位打線を迎えたが、動じない。

 「自分の中でも落ち着いてというか、相手に合わせるのではなく、自分の間合いで投げられた」

 1番・桑原はフルカウントから鋭く落ちるフォークで空振り三振に。続く楠本は151キロ直球で一ゴロ、佐野も外角高め直球で一ゴロに仕留めた。雄たけびを上げながら決めた、見る者を奮い立たせるガッツポーズ。今季の大躍進を予感させるような瞬間だった。

 「マウンドにいても結構、聞こえるんですよ。3ボールとかなったら、スタンドから『ストライク投げろ』とか(笑)」。主に“八回の男”を任された今季、数々の厳しいマウンドに立ち、悔しさも経験した。それでも、野球ができる喜びを人一倍知っているからこそ、目の前の打者と向き合う強さがある。

 入団後は3度の腰椎分離症などケガに悩まされてきた右腕。苦しい中でも「リハビリの時から1軍で投げるイメージはしながら、モチベーションにやってきていた」と未来の自分を信じて乗り越えてきた。来季はさらに成長した自分のイメージを膨らませる。「まだまだ、球速とか球の質、変化球、投球フォーム的にも伸ばせるところはたくさんある」。無限大の可能性を秘めた男の一球、一球から今後も目が離せない。

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