岡田阪神“ドラ1”でソフトバンク大竹獲得 現役ドラフト1号は早大後輩のローテ候補左腕
プロ野球は9日、史上初めて出場機会に恵まれない選手救済の「現役ドラフト」を開催した。阪神はソフトバンクから大竹耕太郎投手(27)を獲得。甲子園のクラブハウスからリモート参加した岡田彰布監督(65)は、早大の後輩左腕が意中の“ドラ1”だったことを明かし、先発ローテ入りの期待を寄せた。大竹耕も甲子園での登板を熱望し、新天地での活躍を誓った。
ラジオ出演を終えた岡田監督はえびす顔で控室のイスに座った。今年初めて開催された「現役ドラフト」は大成功だ。ソフトバンクから早大の後輩・大竹耕を獲得。意中の“ドラ1”のゲットに自然と表情がほころんだ。
「左の先発というのも少なかったし、いい選手が取れたと思っているよ。(自分の)意向というか、そりゃ当然。その(メンバーの)中で“ああ、これやったら大竹欲しい”ってね。一番欲しかった?そうそうそう。俺んとこに関してはな」
4番を打った実績のある陽川を放出してまで獲得した左腕だ。当然、期待は大きい。現状、先発ローテの左腕は伊藤将だけ。今季セットアッパーを務めた岩貞を先発再転向させたチーム事情が物語るように、新指揮官は先発左腕の出現を心待ちにしている。
「野手よりもピッチャーは何人おってもええし。ましてや左で先発ができる。その辺がマッチしたけどな」
面識こそないが、母校・早大から初めて育成ドラフトで入団して以降、気にかけてきた。大竹耕は1年目の18年に支配下登録を勝ち取り、3勝をマーク。翌19年も5勝を挙げた。ここ2年は1軍未勝利に終わっているが、今季ウエスタン14試合で4勝1敗、防御率2・87。岡田監督も「最後2軍のゲームで見た」と語り、先発ローテを争えると判断した。
心機一転、大竹耕は新天地での活躍を誓う。「大した実績がなかった僕の可能性を見いだし、プロ野球選手にしてくれたホークスには感謝してもしきれません」。そう語った上で、高校時代に2度出場し、計4試合に登板した甲子園のマウンドへ決意を込める。
「選手としてはひと花咲かせようという気持ちになっています。阪神はファンが熱いチーム。伝統もあり、甲子園球場で投げられると思うと、今から気が引き締まります」
甲子園クラブハウスからリモート参加した「現役ドラフト」。岡田監督にとっても初体験だったが、運命の糸はかわいい後輩と結ばれていた。来季、18年ぶりの“アレ”へ貴重な1ピースを獲得した。
◆大竹耕太郎(おおたけ・こうたろう)1995年6月29日生まれ、27歳。熊本県出身。184センチ、87キロ。左投げ左打ち。投手。済々黌では12年夏、13年春とも甲子園3回戦進出。12年夏は藤浪晋太郎のいた大阪桐蔭に敗れる。早大を経て17年度育成ドラフト4位でソフトバンク入団。18年7月30日に支配下登録。同8月1日・西武戦で育成出身者史上初の初登板初先発初勝利。