早大1年生から英才教育、阪神を強くするのは「岡田しかいない」 早大元監督・石山建一氏
18年ぶりの“アレ”を目指す岡田彰布監督へのエール企画「アレが見たい」。第12回は早大元監督の石山建一氏(80)。岡田監督の素質を見抜き、大学1年生から英才教育を施し、東京六大学野球のスターに育て上げた。現在もゴルフを共にするなど親交が深い。巨人で編成部長も務めた岡田監督の恩師が手腕に太鼓判を押した。
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もう一回、岡田には監督をやってほしいと思っていたからすごくうれしかったね。野球の本質、選手を見る力がある。試合運び、試合度胸を含めて阪神を強くするのは岡田しかいないですよ。
昭和50年の夏。早稲田大学への進学を目指す高校球児の練習会に岡田が来たんですよね。当時、早稲田に推薦枠はなかったもんですから、受験指導もしていたんです。その時、岡田の手首の柔らかさにほれ込みましてね。試験に受かるかどうか、心配で仕方なかったんですけど、猛勉強して早稲田に入ってきたんですよ。
大学では高校までの外野、投手からサードにコンバートして東京六大学野球の記録を破れとハッパを掛けました。谷沢健一(早大)の通算打率・360、田淵幸一(法大)の同22本塁打、高田繁(明大)の7季連続ベストナイン。看板選手になれるぞと。本塁打は20本で届かなかったけど、通算打率・379、81打点はいまだに破られていませんからね。後に岡田は「3つの数字を突きつけられて気が遠くなった」と言ってましたね(笑)。
早大は夏休みに軽井沢で40日間の猛練習をやるんです。午前中だけで400本から500本ノックを受けるんですよ。岡田もクタクタでね。練習が終わったらひっくり返ってもいいはずなのに、泣き言も愚痴も言わずに(グラウンド整備の)トンボかけてるんですよ。僕は木陰で見ながら、これだけ根性が座ってる男はモノになるな、精神的にも間違いないなと思ってね。1年生から英才教育で1人部屋のキャプテン部屋にしました。1年生は大部屋で20、30人で雑魚寝するんですけど、将来のチームリーダーにしようと思ってましたから。1年生からキャプテン部屋で鍛えたのは岡田1人ですよ。
岡田監督もそうやって鍛えられてきたからね。佐藤輝には相当辛口のこと言ってんだけど、大山と2人で頑張らないと優勝できないからね。「愛情の表れで憎いんじゃないよって言ってやってくれ」と水口(打撃コーチ)に伝えましたよ(笑)。とにかく健康だけ気をつけてほしいね。彼に任せればちゃんとできますよ。全部分かってるもん。辛口の広岡(達朗)さんまで褒めてるんだからね(笑)。
◆石山建一(いしやま・けんいち)1942年9月6日生まれ、80歳。静岡県出身。静岡、早大を経て、日本石油(現ENEOS)でプレー。早大と社会人野球のプリンスホテルで監督を務め、数多くの選手をプロへ送り出した。現在も全国各地を飛び回り、中高生を中心に野球指導を続けている。