阪神・ドラ1森下は“必勝仕事人”できる 元虎スカウト佐野氏が中大後輩にエール
阪神で勝負強いバッターとして活躍し、引退後はスカウト部門で名選手を発掘してきた佐野仙好氏(71)が26日、球団では自身以来となる中大出身のドラフト1位・森下翔太外野手(22)にエールを送った。統括スカウト時代に森下の成長の軌跡を見てきた佐野氏。大山、佐藤輝と組む未来のクリーンアップ候補は、長打力だけでなく「考える力」が魅力と説いた。
初めて森下の姿を見たのは東海大相模2年時だったという。当時の立場は阪神の統括スカウト。佐野氏が受けた第一印象は非凡なものだったという。
「高校2年の時に初めて見させてもらったんだけど、打つだけじゃなくて、肩も強いし、走力もある。その時点で(リストに)挙げようかなという選手だったけど、大学に進学が決まったって言われて。それが母校の中大だったからね」
統括スカウトとして阪神の世代交代を成功させる立役者となった佐野氏。上位だけでなく、3位以下で岩崎、青柳、湯浅、浜地、才木らを獲得してきた。またスカウト顧問としても助言を行うなど、その眼力は球界内でも定評があった。現在は故郷の群馬で母校・前橋工の練習を手伝いながら、古巣の状況を温かく見守っている。森下に期待する部分についてはこう評した。
「高校、大学と見てきたんだけど、森下はもちろん長打力もあるし、ホームランも打てると思う。それよりも場面、場面で仕事ができるバッター。単に打つだけでなく、状況に応じていろんなことができる選手。いい場面で打つ、仕事ができるバッターという印象だね」
中大時代、3番に森下、4番にヤクルトから5位指名を受けた北村が並んでいた。後ろに4番が控える中でどういうバッティングをするか-。森下が状況を把握しつつ、チームのために“考える打撃”をしていたことが目に留まった。
「高校時代から見てきて、北村(近江)っていうのは飛ばすバッター。森下はそうじゃない。飛ばす力は持っているんだけど、穴が少ない感じ。現状のチームを見ても、佐藤輝、大山はボールを飛ばす力があるバッター。森下は逆に対応力があると思う」
将来的に阪神のクリーンアップを組むことが期待される大山、佐藤輝、森下。いち早くその未来をつかむために、佐野氏はプロの先輩としてこうエールを送る。
「アマとプロは違うからね。自分のモノ、アピールできるモノを早く見つけること。それをつかまないとレギュラーにはなれない。他の選手が持ってないモノを自分で持っていたらアピールになる。それを自分で理解して、自分のモノを作っていくのが大事。自分でこうやろうと思ったらやっぱり努力するし、教えられて違うとなったら切り替えもできるから」
森下は阪神で佐野氏以来となる中大出身のドラフト1位。優しい表情を浮かべながら、こう期待を寄せた。
「俺以来なんだってね。自分がスカウトの時に、自分の大学から取りたいというのは思っていた。でもなかなかそういうチャンスがなかった。期待してますよ。勝負強いバッターになってほしい」-
◆森下 翔太(もりした・しょうた) 2000年8月14日生まれ、22歳。横浜市出身。182センチ、90キロ。右投げ右打ち。外野手。日限山小1年から野庭日限フェニックスで野球を始める。日限山中時代は戸塚シニア。東海大相模では3年時にセンバツ4強。中大では1年春からレギュラーで、同年夏に大学日本代表入り。東都大学リーグでベストナイン2度。大学通算9本塁打。
◆佐野 仙好(さの・のりよし) 1951年8月27日生まれ、71歳。群馬県高崎市出身。現役時代は右投げ右打ち。前橋工から中大を経て73年度ドラフト1位で阪神入団。主に外野手として活躍。89年に現役引退。通算成績は打率.273、144本塁打、564打点。引退後は阪神で打撃コーチなどを歴任、編成部門では20年まで球団本部スカウト顧問などを務めた。