藤浪アスレチックスと合意 阪神からポスティングでメジャー挑戦 1年契約でオフにはFA

 阪神からポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指していた藤浪晋太郎投手(28)がアスレチックスと1年契約で合意したことが12日、明らかになった。2年目の契約オプションはなく、今季終了後にはFAとなる。藤浪は既にサンフランシスコ入りしており、13日(現地時間12日)に身体検査を受ける予定。早ければ同日にも入団が正式発表される。

 交渉期限が日本時間15日午前7時に迫る中、藤浪の新天地がアスレチックスに決まった。米球界関係者によると、契約は1年限りで球団の保有権や2年目のオプションはなく、今季終了後にはFAになるという。

 年俸は明らかになっていないが、「1年勝負」で先発投手としての地位を確立すれば、来季以降の「大型契約」に期待が膨らむ。実際に近年のメジャーのFA市場を見ても、インパクトのある成績を残した先発投手が、3~5年の複数年契約を勝ち取っている例は数多い。自らの右腕で2年目以降を切り拓くチャレンジとなる。

 ダイヤモンドバックスなどからリリーフとしても評価されながら先発に強いこだわりを持っていた藤浪にとって、アスレチックスは絶好のチームと言えるだろう。

 映画「マネーボール」の題材になるなど緊縮財政のスモールマーケット球団として知られており、21年以降、年俸が高騰するエース格を次々と放出し、先発陣は人材難で厳しい状況にある。

 今季の先発ローテは昨季9勝で実質3年目の左腕・アービンと、昨季7勝のブラックバーンが確定。今オフに1年300万ドル(約4億円)で獲得した韓国プロ野球で通算53勝のルチンスキーが3番手として期待されているが、4番手以降の枠は空いている。

 2月中旬から始まるキャンプではカプリーリアンやマルティネスら、若手有望株や実績のない投手とローテーションの枠を争うことが予想される。160キロを超える速球と昨季後半にさえたスプリットを中心にした投球でしっかりとアピールできれば、十分にチャンスはある。

 長期契約を結んでも成績次第ではトレードや自由契約などがある厳しい世界。メジャー界では「ローリスク・ハイリターン」と形容されている未完の大器が新たな道を突き進む。

 ◆藤浪晋太郎(ふじなみ・しんたろう)1994年4月12日生まれ、28歳。大阪府出身。197センチ、98キロ。右投げ右打ち。投手。大阪桐蔭から2012年度ドラフト1位で阪神入団。プロ1年目の13年3月31日・ヤクルト戦(神宮)で初登板初先発。13年から3年連続2桁勝利。21、22年開幕投手。最多奪三振1回(15年)。17年WBC日本代表。

 ◆オークランド・アスレチックス アメリカン・リーグ(西地区)所属で本拠地はオークランド・アラメダ・カウンティ・コロシアム。1901年にアメリカン・リーグが誕生したと同時に加盟。ワールドシリーズ優勝9回、リーグ優勝15回。所属した日本人選手は藪恵壹、岩村明憲、松井秀喜、岡島秀樹。

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