元阪神監督・吉田義男氏 日本一は「バースがいなかったらあり得なかった」

 バース氏への祝辞を述べる吉田義男氏(代表撮影)
 祝勝会で吉田監督(左)にビールを浴びせるバース=85年10月16日、サテライト後楽園
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 阪神が日本一になった1985年に監督だった吉田義男氏(89)が13日、都内で行われた殿堂入り通知式に参加し、バース氏を祝福した。短い祝辞の中にちりばめた思い出の花。「ランディ」と愛着のある呼称で、感謝の思いを明かした。

 球団初の日本一となった激動の85年。吉田氏は「ランディ・バースがいなかったらあり得なかった」と振り返る。中でもバース、掛布、岡田の3者連続バックスクリーン弾で逆転勝ちした4月17日・巨人戦(甲子園)。「ものすごく大きな自信になった。ランディがけん引者になってくれた」。指揮官自らが手応えを感じたシーンだ。

 今も当時の記憶が鮮明によみがえる。大活躍の裏側で、弱さを見せた瞬間もあった。当時、左投手を苦手にしていたバースは開幕2戦目に広島の左腕・川口との対戦を前に、吉田氏をベンチ裏に呼んだという。

 「岡田を3番、僕を5番にしてくれ」

 この“嘆願”を断固として拒否。チームの方針でもあった一丸挑戦を大切に、話し合いを重ねたのも今だからこそ明かされる昔話だ。「話をすればキリがない。(今年から)苦楽を共にした岡田が監督になる。応援していただきたい」。教え子の節目を見届け、柔和な笑みを浮かべた。

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