【阪神・岡田監督夫人の手記】主人は「自分が知っている全てを後輩たちに伝えたい」と一番に考えている

 開幕セレモニーでグラウンドに登場する岡田監督
 開幕戦に勝利し、ファンにあいさつする阪神ナイン(撮影・中田匡峻)
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 「阪神6-3DeNA」(31日、京セラドーム大阪)

 阪神・岡田彰布監督(65)の妻・陽子さん(64)が、2次政権の開幕を迎えた夫へエールを送った。球団から再登板する機会を与えてもらったことに感謝。ユニホームを着ていなかった10年間での変化などを語り、岡田監督の阪神や選手に対する情熱が伝わることを願った。

  ◇  ◇

 私個人としては今回、監督になったということよりも、主人が今まで培ってきた野球を伝える機会をいただいたことが何よりもありがたく思いました。

 主人は「自分が知っている全てを後輩たちに伝えたい」ということを一番に考えていると思います。技術や試合運びや。家でもテレビを見ながら「なんでここで選手を代えへんねん」とかブチブチ言っていました(笑い)。歯がゆい思いがあったようなので。

 主人はいつもサインに「道一筋」と書きますが、私は本当に職人ぽい人だと思うんですよ。職人さんは自分が培ってきた技術を次世代に教えますが、主人もまだ教えることがあるっていう気がしたのだと思います。

 監督はしんどいことがたくさんあるし、今回は体力的に以前よりもしんどく感じるかもしれません。でも、どんなにしんどくても「伝えたい」という気持ちがすごく強かったと思います、何よりも。

 今回は2012年以来の現場復帰となります。オリックスの監督を辞めてからの10年間は今までで一番、夫婦で多くの時間を過ごせました。

 息子が結婚して、孫が生まれて会いに行って。一緒にUSJとか遊園地へ行って、一緒に乗り物に乗ったり。お昼もレストランに入るのに並ぶからパンを買ってしゃがんで食べたり(笑い)。孫が小さい時に行けたので、そういう意味ではタイミング良かったねって言って。自分の子供の時も一緒に遊園地とかへ行ったりしてくれましたけど、それほどやれてないから、いい経験ができたんじゃないですかね。普段は普通のおじいちゃん。年齢とともに性格は丸くなっていると思います。

 根は優しい人です。家でも選手の将来のことを話します。野球で生活をしているわけだから何とか見極めたい、と。「この選手はレギュラーは無理でも守備に特化した方が長くユニホームを着られる」とか。選手本人が納得しない部分もあるかもしれませんけど、主人は少しでも長く現役を続けられるように、選手の良いところをパズルのピースのようにはめてあげたいという気持ちでやっているみたいです。そういうことはずっと考えています。でも、そこまで考えているのに、その温かい感じが表に伝わっていない感じはしますけど…。

 基本的に口数が少ないから、きつく聞こえちゃうんですよね。「そんなん分からんか?」で、終わりみたいな。そうなると、怒っているわけじゃないけど、聞き慣れていない人は、怒られて責められているように感じるじゃないですか。

 特に主人は若い人と接する機会がなくて、接しても30代中盤の息子ぐらいまでの世代なので。若い世代のことは分からないと思うんですよね。息子も喜ぶよりも「65歳ね…、コミュニケーションに気をつけないと」と少し危惧していました。

 私も主人と同じ状況なので実際は分かりませんが、周囲の話を聞くと今の世代は「5を伝えたかったら15ぐらい言わないといけない」みたいで。主人の世代の人は「5を言って10を分かれ」という感じですが、「それはダメよ」と伝えました。今は言ってあげないと分からない感じなので。だから、小さい子に説明するぐらいの気持ちでやってもらいたいと思います。やっぱり言いたいことは正しく伝わってほしいので。

 シーズンが始まりましたが、私は主人が家ではいろんなことを背負わないようにしたいと思っています。最近は帰ってきたらしゃべっていることが多いんです。本音でバーってしゃべれるというのは一番のストレスの発散になると思いますし、私は試合をちゃんと見て、帰ってきた主人が話そうと思うようにしたいと思っています。

 主人にとって選手よりも監督という職業の方が天性というか、向いていると思っています。将棋が好きなように、先の先の先までを考えた選手起用とか。考えることが好きなので。主人が本当にこだわって真剣になれる瞬間だと思うので頑張ってもらいたいですね。

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