現役ドラフト組で初勝利の阪神・大竹 早大で3度胴上げ投手→育成入団 いばらの道を選んだワケとは
記者の心に響いた話を取り上げる「番記者の心」。今回は現役ドラフト組一番乗りで1勝目を挙げた阪神・大竹耕太郎投手(27)。熊本・済々黌高ではエースとして甲子園に出場し、早大でも3度胴上げ投手にもなった左腕が、なぜ、いばらの道とも言える育成入団でもプロにこだわったのか-。そこには自分の道を突き進む信念があった。
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早大野球部→育成でプロの門をたたくのは珍しい。大竹は17年度ドラフトでソフトバンクに育成4位で入団したが、退路を断つことへの不安はなかったのだろうか?当時の思いを明かしてくれた。
「プロに行くことを決めたのは、やっぱりホークスの育成というのが大きかったんです。千賀さんだったり、育成から活躍されている選手が多かった。自分自身もホークスが昔から好きでしたから」
早大野球部はこれまで多くのプロ選手を輩出してきたが、一般的には卒業後は大手企業へ就職したり、名門の社会人チームに在籍する例がほとんどだ。
当時、大竹は支度金300万円、年俸400万円(金額は推定)で育成契約を結んだが、一般企業に進んだ方が給与面など安定した生活が送れることは間違いない。ただ、左腕はそこに魅力を感じていなかった。
「早稲田からプロに育成で行くのは違うって意見があったとしても、自分は後悔のないようにしたいというのが一番でした。プロに行かずに社会人で野球人生を終えた時、あの時プロに行けたのに行かなかったとなれば、絶対後悔するなって」
現役ドラフト組で一番乗りの今季初勝利。大竹は言う。「僕が育成からプロに行ったことで他の大学の選手も行くようになった。今回もいい意味で先駆けじゃないですけど、いい前例にはなりたい。現役ドラフト制度がポジティブなイメージが付くような活躍をしたい」とパイオニアになる覚悟を抱いている。(デイリースポーツ・関谷文哉)