阪神 中野の逆転サヨナラ打で劇的再奪首 九回2死満塁で栗林撃ち左越え2点打

 「阪神2-1広島」(18日、甲子園球場)

 シビれた~!!阪神・中野拓夢内野手(26)が九回2死満塁から逆転サヨナラ打を放ち、広島との首位攻防第1ラウンドを制した。八回まで再三の好機で決定打を欠き、好投を続けた先発・西勇が九回に1点を先制された。フラストレーションがたまる展開だったが、最後の最後にドラマが待っていた。連敗を2で止め、DeNAと並んで首位に再浮上だ。

 右手を突き上げる中野の元に、選手たちが一斉に走ってきた。木浪からのウオーターシャワーを心地よさそうに浴び、ナインとの抱擁を交わす。2度の得点圏の絶好機で凡退した悔しさをはね返す、プロ初のサヨナラ打。敗戦目前から劇的勝利へ導いた。

 「近本さんが(1日・DeNA戦で)サヨナラを打った時に逃げていて、自分も逃げようと思ったんですけど、ちょっと浴びてみたい気持ちもあって。気持ち良かったです!!」

 WBCで同じ日の丸を背負った仲間から、殊勲打をマークした。1点を追う九回2死満塁。マウンドには栗林がいた。3球で追い込まれながらも直球、フォークに4球連続のファウルで食らいつく。そしてカウント2-2からの9球目。最高のドラマを演出する。

 やや体勢を崩されながらも、外角低めへ沈む142キロフォークに対応。「越えてくれ」-。白球は前進守備の左翼・西川の頭上を越えた。阪神としては2年ぶりの逆転サヨナラ勝ち&聖地での今季チーム初適時打となった。「西(勇)さんに黒星をつけるわけにはいかない」。その思いをバットに乗せた。

 最近は四球を視野に「あえて振らない」打席も多く、的確にボールを見極める姿もあった。ただ、岡田監督から試合前に「ストライクがポンポン来るから積極的に行けよ」と指摘された。「ファウルを打ちながら、嫌らしい打席を送ることができたんじゃないか」と積極的に打ちにいく姿勢が結果につながり、安どの表情を見せた。

 今季のテーマは「簡単に三振をしない」こと。打席内で工夫を凝らしている。「ポイントを少し捕手寄りにすることで、ボール球の変化球に誘われることがなくなる。簡単に終わる打席が少なくなれば、打席も濃い内容になると思う」。この姿勢が打率・300、出塁率・362につながっている。

 広島との首位攻防初戦を制し、DeNAと並んで首位に躍り出た。WBCで共に戦った湯浅が「前腕の張り」で離脱中だが「逆にいない間にチームが上がるくらいのつもりで盛り上げていけたら」と発言が頼もしい。中軸の状態が上がるまで打線をけん引していく。

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