阪神・西勇 古巣斬りで史上20人目偉業 プロ初星の甲子園で新たな思い出「野球終わったときに」
「阪神8-3オリックス」(14日、甲子園球場)
プロ114勝目は格別の味だった。阪神・西勇輝投手(32)が自身3度目となるオリックス戦登板で、史上20人目となる12球団勝利を達成。「勝たなアカンという気持ちが強すぎると、やっぱしんどいなって、今日で分かったし。いい経験できたかな」と胸をなでおろした。
古巣相手に記録が懸かり、「今までにないような気持ち的に難しいマウンドでした」と立ち上がりを振り返る。対戦打率・500で迎えた森に先制適時打を浴びるなど、初回、二回と失点を重ねた。だが、三回からは2イニング連続三者凡退。五回は2死一、三塁のピンチで天敵の森を一塁ゴロに打ち取って、右手でガッツポーズを決めた。
投手最年長のプロ15年目、後輩の成長は自身の喜びだ。今季大ブレークした村上には、春季キャンプ中に「10勝したら、お祝いな」と約束。あえて高いハードルを課してハッパを掛けたが、4月22日に村上がプロ初星をつかむと、すぐに祝席を設けた。
「やっぱ初勝利だから。自分が祝ってもらったことより、もう祝うことの方が全然多くなったけど、プロやってるからには続けるよ。自分も金子さんや平野さん、マモ(岸田)さんにやっていただいて、うれしかったし」。オリックスから阪神に移って立場は変わったが、万人に祝福されるべき“偉業”を成し遂げた。
6回5安打2失点でゲームメークし、クオリティースタート(6回以上、自責点3以下)で12球団白星を決めた。プロ3年目の11年4月17日、楽天相手にプロ初勝利を挙げた甲子園に刻んだ新たな思い出に、「20人しかない記録っていうのは、野球終わったときに自分がずっと覚えてるんだろうなという記録」と誇らしげ。ウイニングボールを握りしめながら、メモリアル星の余韻に浸った。