【小山正明氏の眼】西勇さすがベテランの修正力
「阪神8-3オリックス」(14日、甲子園球場)
阪神・西勇輝投手(32)が史上20人目の12球団勝利を達成した。初回に先制点を奪われながらも終わってみれば6回5安打2失点。デイリースポーツ評論家・小山正明氏(88)は「勝負どころをしっかりと抑えている」と投球内容を高く評価した。
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西勇はよく立ち直った。さすがのベテランの修正力を見せてもらったよ。
初回は球が上ずって、甘く入ったところを捉えられたが、直後に4点の援護をもらって気持ちに余裕ができたのだろう。徐々に両コーナー、低めに持ち球が集まり出して、三回以降は相手打線に的を絞らせなかった。
六回無死一塁で中川圭に対し、直球とスライダーを外角に集めて三ゴロ併殺打に仕留めた投球などは象徴的だった。今季は昨季までのいい時に比べると球のキレ、制球ともにいまひとつ、という側面が確かにある。それでも勝負どころをしっかりと抑えているから、大崩れしない。ひと味もふた味もある投球を今後も期待したい。
開幕からチームの状態がいいから、今季はずっとお客さんが入っている。コロナ禍があって、ファンの声援がない中での野球も経験して、そして今がある。この2、3年の間に入ってきた若い選手たちには特に、これだけの声援の中でプレーできる幸せをかみしめてほしいね。